粉飾

「これは?」
「うーん何か違う」
映画の完成祝賀会。其れに招かれた、私と卯羅は、衣装室で、衣装を選ぶ。
「あっこれ!」
卯羅が持ってきたのは、何処かの王子でも着てそうな衣装。腿まであるブーツに、フリルの袖口。外套は二重になっていて、肩章が付いている。
「髪型は映画のみたいにしよう?」
そのまま更衣室に押し込まれ、渋々着替える。
「此れ、少しやり過ぎな気がするのだけど」
「───!」
出ると、卯羅は眼を見開いて、そのまま動かなくなった。
嗚呼、そういえば、幼い頃から王子と姫の夢物語が大好きだったっけ。
「君はそうだなぁ」
目に留まったのは、勿忘草のような水色。裾へかけて大きく広がった形は、Aラインというらしい。デコルテを堪能できるデザインは、胸の大きい彼女にぴったり。
「此れが佳い」
まだかまだかと待つ。
「治さん」
更衣室の目仕切りから、彼女の頭だけ出てきた。
「背中、閉めて?」
「お望みのままに」
仕上がった彼女は、美しかった。勿忘草色は、深い濃紺の髪と溶け合い、海のような色合い。少し窮屈そうに寄せられた胸は、波を迎える岩礁か。
「苦しくない?」
「胸が少し……」
「仕方ない、大きさがない」
「誰の所為でこんなに大きくなったと?」
化粧台の前に座らされる。髪を整えられる。左をスッキリと撫で付けられる。
「本当に美人。嫉妬しちゃう」
「女の嫉妬は怖いらしいじゃない?」
「一番ご存知でしょうに」
後ろから抱き締められた。首に腕が回され、顔が頚に近づく。
「私の」
「そ。君の」
横にある顔に頬擦りした。
「……ねえ」
「嫌よ、流石に」
「でもね、私はしたい」
察したのか、私から離れた。すかさず、腕を掴む。そして化粧台に座らせた。
「憧れの王子様に抱かれる。どう?」
「最低」
罵りながらも口付けてくる。私だけの姫の唇を慈しむ。何をそんなに夢中になるのか、其れは、永遠の課題のように思える。
「折角着たのだから、脱ぐのは惜しいね」
窮屈な乳に口付ける。いつも通りの手順で、悦を与える。下から解す様に揉めば、少し開いた口から息が漏れる。
「そういえば、乳房で感じるのは稀だそうだよ?脂肪の塊だし」
「誰の所為だと……っん」
「私だけであることを祈るよ」
ドレスの裾を捲し上げる。丈が長いとなかなかに苦労する。嗚呼、だったら───
「お、さむっ……?!」
捲ることを辞め、顔を中に入れた。これで私は彼女のドレスの中。
「待って駄目これ……」
顔が見れないのが残念だが、何をされるか解らない状況下で、身体が敏感になる。秘部は期待に満ちていた。周囲に口付ける。腿で首が固定される。
「矢張、私の姫は淫乱だ」
「そんなっ……ことぉ……」
音を立てて汁を吸うと、押し付けるように、頚を締め付けてくる。嗚呼、きっと、体躯を反らせて快に溺れている。其を思うと、慰めずには居られない。彼女の匂いと味。全てが私を包む。逸物を取り出して扱く。袖のフリルに付いては不味いかと、少し捲る。自分の手で、というのに慣れなく、違和感が酷い。卯羅の秘部に口付け、蜜を吸い、堪らず名前を呼ぶ。彼女は彼女で、声を漏らすまいと、堪えているのだろう。文字通り、身悶えしているのが伝わる。
「ん…ぅら……あっ……」
矢張、中に──そう思い、裾を捲し上げ、吃驚箱宜しく姿を現す。
「まっ、て!っ……ぁ゛っ、だ、め……挿入れないで……ぇっ……」
不躾に進入する。溢れる蜜。拒否しながらも腕は私の首に回され、口付けを誘う。
「好きなくせに」
「愛してるの」
口付けながら、腰を進める。本当の袋小路。
「太宰さーん、卯羅さーん、準備整いましたか?」
舌を噛み千切りそうになった。
「敦くんかい?」
「皆さん待ってますよ!」
「すぐ追いかけるから、先に行っていておくれ」
「わかりました!早く来てくださいね!」
時間が来たのなら仕方がない。再度身支度を整える。
姫と王子、哀れなり。満足しないままに、行為を終える。
「治さぁん……」
「だぁめ」
軽く口付けて、引き下がらせる。
「後で、ね?」
この後、私は何百という人の前に“此のまま”立つ。彼女は、関係者として、後方に控える。
さて、私たちは何処まで我慢が出来るのか………。

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