恋人同士だと勘違いされてましたが…


『瞳子監督、コーチとカップルだって勘違いされてたみたいですよ。どう思いますか?』


馨「何で言うの!? 何で言っちゃうの!? せっかく黙ってたのに!」

瞳子「あら、どうして?」

馨「あぁほらみこ姉が怒っちゃっ……へ?」

瞳子「だから、どうして黙っておく必要があるの?」

馨「え、いや、みこ姉機嫌損ねるかなって……思って……」

瞳子「何故? 私が機嫌を損ねる理由なんて無いじゃない」

馨「じゃ、じゃあ嫌じゃないってこと? その、私と恋人同士に見間違えられるのは」

瞳子「……そういう微妙に誤解を招きそうな訊き方をするのは止しなさい。大体、今の馨の格好じゃ男に見られたって仕方ないわ。そもそもそうなるように衣装を選んだのだから。私とも年齢差はそんなに無いし、ぱっと見て勘違いされることくらい想定の範囲内よ」

馨「想定してたんだ?!」

瞳子「まぁ、『想定することにした』の方が正しい言い方かもしれないわね。ある程度は予想していたとはいえ、着替えた貴女の姿を見たら……なかなか思った以上に男だったものだから」

馨「……それって褒められてる?」

瞳子「当たり前じゃない。だから別に周りからどう見られたって構わないのよ、私は。……なに? 貴女は嫌だとでも言うの?」

馨「い、い、いや、滅相も無いです! みこ姉美人だし、彼氏になれて光栄です!」

瞳子「だったら問題無いわね。今後も余計なことは考えず、変装を継続させること」

馨「は、はーい……」




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