ガイエン本国の東、海に近い森の中。
その入り口に、ガイエン海上騎士団の旗を掲げたテントが張られていた。今日は1週間に及ぶ騎士団員見習いによる陸上訓練の最終日。騎士団員は明日の昼にはここを発ち、さらに東にある港から哨戒船でラズリルへと帰還する。
朝から訓練に励む見習い生たちは、今日はどこか落ち着きがなかった。最終日という事もあるが、今日部隊に合流する予定になっている、本国の騎士見習いの隊が来るのが待ち遠しいのだった。彼らは本国の騎士団で基礎訓練を修了した際、海上騎士団への赴任を希望したのだ。つまり、海上騎士団へと移り、そこで卒業をして、海上騎士団員を目指すことになる。
珍しいことだが、ときどきそうして本国から移ってくる騎士見習いがいる。今年は3名の見習いが希望したらしい。
「なぁ、どんな奴だと思う?」
「噂では、本国の見習いの中でも優秀な奴らだって聞いたぞ。」
「ってことは強いのかな!?」
突然話に割って入ってきたジュエルに圧されて、呆気にとられた見習い生の少年たちの返事を待たず、ジュエルは傍を通りかかったスノウとラズロを呼び止める。
「ねぇ、そいつらと手合せしてみたくない!?本国の見習いをぶちのめして、あたしたちのほうが優秀だってことを見せつけてやろうよ!」
熱気あふれる少女に、スノウは涼しげにうっすらと微笑した。
「ジュエルは相変わらずだなぁ…。僕は、彼らが早く打ち解けられれば、それでいいさ。本国とラズリルとでは、違う事もたくさんあって苦労もするだろうからね。」
「えーっ、そんなのつまんなーい。ね、ラズロ?」
口を尖らせたジュエルに同意を求められたラズロは、いつも通り無口な口を噤んだまま、否定も肯定もせずじっと彼女を見返すだけだった。だがそんな反応にはジュエルは慣れっこで、もともと期待もしていなかったかのように自分の持ち場へと踵を返すのだった。
そのとき、見張りの少年があっと声を上げた。
「狼煙だ!」
彼が指差す方角、森の中から、薄水色の空へと向かって、ひとすじの白い煙が上がっているのだった。
グレンはすぐに4人の見習いを招集した。
グレンのテントで、スノウ、ラズロ、ジュエル、ケネスは横一列に並んで背筋を伸ばしていた。
「あの狼煙は騎士団の救援要請だ。恐らく、今日ここで合流することになっていた本国の騎士見習いの一隊だろう。この森はそれほど深くはないし、とくに危険な魔物の目撃もない。本国の騎士見習いは、よくこの森で訓練をしていて慣れていると聞いているが、何か問題があったんだろう。お前たちで救援に迎え。」
「はいッ!」
「救援が無理だと判断したら、この狼煙を使え。俺が向かう。くれぐれも無理をするんじゃないぞ。」
グレンに送り出されて、スノウを先頭に森へ入る。普段、海上訓練が多い彼らにとって、森はとても新鮮だ。とはいっても、本国の騎士団がよく訓練に使うだけあって、森の入り口から街まで続くこの道はよく整備されていた。
「…おい、あれを見ろ。」
ケネスが低い声で言って、一行は立ち止った。整備された道が、突然竜巻でも横切ったかのように抉られ、周りの木々もなぎ倒され引きちぎられていたのだった。
「…危険な魔物はいないんだよね?」
ジュエルが引きつった顔で呟く。
「…普段から本国の騎士団がよく出入りしているから、もさもさくらいしか出ないと聞いたが…。」
ケネスも神妙な顔で呟く。
「ん、ラズロ?どうしたの?」
抉られた地面に近づいて行ったラズロを、ジュエルたちは追いかけた。ラズロはしゃがみこみ、地面をよく観察している。
「あっちだ。」
ラズロは地面を指さし、北西の方を見て立ち上がった。ラズロが指差した地面には、消えかけた足跡が続いていた。どこか見慣れたその形は、甲冑の足跡だと気付く。本国の騎士見習いたちの足跡に違いなかった。
「ここで何かに遭遇して、慌てて逃げたってところか。」
「……。」
ケネスが納得し、スノウは黙り込んだ。腕に覚えのある者が、手放しで逃げ出すほどの何か……。
引きかえすか。その考えが浮かばなかったわけではない。しかし、スノウはラズロをじっと見つめ返して頷いた。
「行こう。狼煙が上がっていたのも、この足跡の方角だった。」
整備された道を逸れて一行は森の中を進む。けものみちだが、木々はなぎ倒されていたため歩くために苦にはならなかった。
しばらく進むと、一層広い範囲の木々がなぎ倒されてひらけた場所に出た。円状に木々が折れ、地面の跡もらせん状に渦巻いている。
「これは紋章の跡だな。」
ケネスが言い、一同も同意した。ここで交戦したのだろう。
「辺りを探そう。そう遠くへは行っていないはずだ。」
スノウのその言葉で、4人は辺りを散策し始めた。
ラズロがすぐ近くに洞窟を見つけたのは、まもなくのことだった。入り口には狼煙の跡があった。3人を呼んで中に入ると、入り口からすぐのところで、少年が二人壁に背を持たれていた。白いローブの上に着用している軽鎧の紋章を見ると、本国の騎士見習いに違いなかった。
「狼煙を上げたのは君たちかい?」
スノウが尋ねると、2人はそうだと答えた。自分たちが海上騎士団の者で救援に来たと伝えると、2人は心底安堵した顔になった。
「怪我をしているのか?」
「わき腹をやられて…」
「俺は、足が…二人で、動けなくなっちまって」
確かに、2人の傷は深いものだった。
「森の木がなぎ倒されていた。あれは何の仕業だ?」
ケネスが問う。
「蛇だ。」
少年が答えた。
「デカい蛇が出た。頭が何双もある…。動けなくなった俺たちを庇って、ひとり、囮になったんだ。紋章で奴の気を引いて……」
「なんだって!?」
スノウが声を荒げると、少年たちは悔しげに叫んだ。
「すまない…。頼む、あいつを探してくれ。助けてくれ!」
森を駆け抜ける。
めきめきとしなやかな幹が軋んで悲鳴を上げ、頭上に影が落ちる。
背後で倒れてきた木を、リッカは転がって避け、再び駆け出す。
つかずはなれず、一定の距離をとって、ハイドラを引きつけながら逃げる。まだ、もっと、洞窟から引き離さなければ。
「あっ!!」
不意に尾がリッカを追い越して木々をなぎ倒し、リッカは行く手を阻まれる。
「…火炎の矢!」
「――ギャアァッッ」
炎の球が尾に直撃し、ハイドラは身をくねらせる。その隙に倒れた大木を盾に、岩場に逃げ込む。
一人では勝ち目がない。しかし、逃げている間に分かったことがある。
まず、ハイドラは火に弱い。そして、動きはそう素早くなく、図体のおかげで小回りもきかない。地形を利用して、もう少し人手があれば、倒すことも不可能ではない……。
しかし一緒にここまで来ていた二人の仲間は負傷して動けない。今たったひとりである自分は、せいぜいこいつを撒いて、隙を見て森を出て、助けを呼びに行くしかないだろう。今、森の入り口には自分たちの到着を待って海上騎士団がいるはずだ。彼らを呼ぶのが良いだろう。問題は、ハイドラの隙をついて無事逃げ延びることができるかどうかだ。
ハイドラが反り返ったのを見て、弓を構え、矢をつがえる。続けて3本放ち、ハイドラの左端の頭部に1本、首に2本命中する。ハイドラはまた、身をくねらせて叫び声を上げた。こうして、攻撃されそうになったら牽制し、その繰り返しだ。もう矢の残りも少ない。リッカは剣を抜いた。
「…剣は苦手だけど…。」
とにかく、牽制してやり過ごせればいい。無理に倒す必要はない。
背後から迫ってきた尾に、リッカは振り向きざま斬りつけた。
「――あそこだ!」
「うわっ!?な、なにアレ……!?」
木々の間に身をうねらせる巨体が見え、ケネスたちは唖然とした。あれが、あの少年たちが言っていた『でかい蛇』なのか――。
「…あ!あそこ!」
ジュエルが指差す方向に、矢を射る人影があった。本国の紋章を記した軽鎧を着ている。冑で顔は見えないが、体つきや身のこなしから見て少女だ。少女がたった一人で、この巨体を引き付けていたというのか――。
「行こう!」
ラズロの声に奮い立たされるようにして、4人は巨体へと剣を向けた。
「無事か!?」
スノウが駆け寄り声をかけると、少女は驚いて振り向き、4人の姿を確かめて落ち着きを取り戻したように見えた。
「あなたたちはもしかして、海上騎士団の……」
「ええ、救援に来ました。あなたの仲間にも会った。ふたりとも、無事ですよ。」
「よかった…。じゃあ…あとはこいつだけ…!」
少女は巨大な蛇を見上げる。蛇は、7つもの頭で5人を見下ろしている。
「こ、こいつ…倒せるのかな…?」
いつも強気のジュエルが、珍しく弱気な声をこぼす。対して、少女は冑の奥からしっかりとした声を放った。
「5人なら倒せる!」
そのとき太い尾が5人を薙ぎ払った。4人は間一髪避けたが、スノウは吹き飛ばされて大木に叩きつけられ、気絶した。
「!スノウが!!」
「くそっ!」
ジュエルとケネスが声を上げる。そこへ尾の追撃が来て、慌てて避ける。
「聞いて!」
少女が再び声を上げた。
「ハイドラはそう速くない。落ち着いて動きを見れば、挙動で何をするかがだんだんわかってくるはず。…今みたいに体を逸らした時には尾で薙ぎ払ってくる。もっと上の、首が反り返った時には、その頭で噛みついてくる。動きをよく見て!」
「わ…わかった!」
「それから、あいつは火に弱い。火の紋章を使える人はいる?」
「ご…ごめん、あたしは水で、ケネスは雷。ラズロは何も…」
「…そう、わかった。」
4人は大木を盾にしながら移動し、じりじりとハイドラを取り囲んだ。
ラズロにひとつの頭が噛みつこうとし、それを間一髪避け、剣で斬りつける。ハイドラは大きな叫び声をあげ、首を振り上げた。その首から、ズルリと頭部が落ちた。
「!やった!!首を一つ切り落とした!!」
「さっすがラズロ!この調子で行こう!」
ケネスとジュエルが喜びの声を上げる。しかし次の瞬間、頭を切り落としたはずの首から、メキメキと音を立てて頭部が生えてきた。
「う…嘘…頭が生えた!?」
「これじゃあキリが無いぞ!」
しかし気絶したスノウを見ると、今から逃げるのは厳しい。ケネスとジュエルの顔には焦りが滲んでいた。動きも荒くなり、攻撃を避ける反応が遅れ始める。
「冷静に!観察して弱点を…」
少女が言いかけた時、ハイドラの尾が木々を薙ぎ払い、ケネスとジュエルを叩きつけた。ケネスは膝をつき、ジュエルも苦しげな顔で足に手を当てる。もう、戦力としては期待できない――リッカはそう判断した。
「――まだいける?」
少女に尋ねられ、ラズロは静かにうなずいた。その強い目に、リッカは確信を得た。
まだ勝機はある。
「…試してみたいことがあるの。また、あいつの頭を切り落とせる?」
「やってみる。」
ラズロは頷いて、飛び出して行った。ハイドラの頭突きを避け、倒れた大木の上を駆け抜け、胴体の傍を走って噛みつきを誘い、ひらりと身を翻して横から深く斬りつける。再生したばかりの柔らかい皮膚は簡単に裂け、ふたたび首からズルリと頭部が落ちた。
そこへすかさず火球が襲う。火は首の切断面を焼き、残りの6つの頭が空気を切り裂くような叫び声を上げた。
焼け焦げた切り口からは、頭部が再生する気配はなかった。ラズロははっとして少女を見つめ、よかった、と少女は小さく呟いた。
「なるほど、傷口を焼いて再生を止めたのか…。」
「すごい…作戦もだけど、ラズロの攻撃に合わせて詠唱してる。」
ケネスとジュエルはぽかんとして二人の戦いを見つめる。
ラズロは激しくなったハイドラの攻撃を避けながら、ふたつめの首を落とした。そこへすかさず火球が飛ぶ。少女は、ラズロが首を切り落とす直前には、すでに詠唱を終え、そこへ向かって火球を放っているのだ。ラズロが首を切り落とす事、そして頭部が首から離れ、切り口が露わになる瞬間を見越して――。
「ラズロもすごいけど…あの子…」
「…ああ、とんでもないな…」
軽やかにハイドラの首を切り落とすラズロ。素早い詠唱で的確に傷口を焼く少女。そしてその連携。ついさっき初めて出会った二人とは思えないほど、息がぴったりと合っている。
「最後の一つだ…」
ケネスが言い終わらないうちに、ラズロがハイドラの首を落とし、すかさず火球が切り口を焼いた。頭をすべて失ったハイドラは、その場に巨体を倒し、動かなくなった。
「――立てる?」
「…え?あ、う、うん!なんとか…」
ジュエルはあっけにとられていて、少女に声をかけられて少し慌てた。スノウは、ラズロに声をかけられて目を覚ましたらしい。ケネスも足を引きずりながらやってきて、感嘆するように溜息をついた。
「いや…すごかったな。思わず、見入ってしまった」
ケネスの言葉に、ジュエルも頷いた。
「ふたりとも息がぴったりで、君の観察眼もすごくて…あ、そういえば、まだ名前を言ってなかったよね。」
ジュエルは興奮気味に身を乗り出した。
「あたしはジュエル。」
「俺はケネスだ。君と一緒に戦っていたあいつは、ラズロ。それから…」
ちょうどそこへ、ラズロに肩を借りてスノウがやってきた。会話は聞こえていたのだろう。苦々しい顔で、スノウは少女を見上げる。
「すまない、後れを取ってしまった…。僕は、スノウ・フィンガーフート。…よろしく。」
すると少女は冑に手をかけ、外した。中からは艶のある黒い髪が流れ、陶器のように白い肌の、可愛らしい少女の顔が現れ、一同は思わず驚きの表情を浮かべた。
「私はリッカ。みなさん、助けに来てくれて、本当に助かりました。一人じゃどうなっていたか…。本当にありがとう…。」
「いや…あたしたちは、全然役に立てなかったけど…えへへ」
「そんなことない。来てくれて、心強かったから。」
リッカは真っ直ぐにジュエルに微笑みかけた。ジュエルは困ったように、それでも嬉しそうにはにかんだ。
一行はまた洞窟に戻り、少年らを連れて森を引き返した。森の入り口に戻るころには、火が沈みかけ、外は橙色の光に包まれていた。
翌日、港から3隻の哨戒船が出港した。
そのうちの1隻――ラズロ達が乗る船には、噂の的であるリッカ達が乗ったこともあり、少し落ち着かない空気が流れていた。とはいっても、3人のうち二人は森での負傷の為船室で休んでいて、リッカも二人につきっきりのため、実際に彼らと会って話したものは少なかった。
「――でもよ、いつも訓練しに来ている森で負傷して動けなくなるなんて、本国の奴らは大したことないらしいな。」
「俺たち海上騎士団見習いが救援に行かなかったら、どうなっていたことやら。」
「今年の移団志願者は優秀だと聞いていたが、それほどでもないな。」
甲板で、見習いの少年らがふざけた口調で話している。ふとそれを耳にしたスノウ達救援組が顔をしかめてそこへ行こうとした時、それよりも早く、白いローブと軽鎧を纏った少年が二人、そこへ近づいて行った。
「救援に来てくれた奴らは良い奴らだったから、海上騎士団に期待したが…どこにでも小物はいるらしいな。」
「なんだと!?…あっ!お、お前たちは…」
立った今悪口を言っていた本人が突然目の前に現れたので、少年らはばつが悪い顔になった。
「確かに昨日の俺たちはふがいなかった。だが、その噂はあながち間違いではない。」
「おれたちは、別に優秀でもなんでもない。でも、あいつは…ハイドラを倒した彼女だけは、本当に『優秀な見習い』だ。」
責めるでもなく淡々とそう言う二人に、少年らは苦い顔で謝罪をして去って行った。
残った二人の元に、スノウとラズロ、それから様子を窺っていたジュエルとケネスが近づいていく。
「やあ、君たち、怪我の具合はどうだい?」
優しい微笑みを浮かべてやってきたスノウに、少年たちも微笑を浮かべた。
「ああ、もう大したことはないよ。」
「リッカの回復魔法はよく効くからな。」
「そういえば、リッカは?」
2人の返事を聞いて、ジュエルが辺りを見渡した。
「今、船室で休んでるよ。俺たちのために、紋章を使ったから…魔力を回復してる。」
「そっか…」
ジュエルが納得して頷くと、2人はチラチラとラズロを気にし始めた。視線に気づいたスノウが、ラズロと二人を交互に見て首をかしげる。
「なんだい?」
「…いや…、お前だろ?リッカと協力して、2人でハイドラを倒したって奴は…」
ラズロは少し予想外という顔で頷く。すると少年らは顔を見合わせて苦笑し合った。
「…リッカは優秀だけど、本国では、あいつと合わせられる奴がいなかったんだ。いつもあいつは手加減をしていて…俺たち同期を助けて、手伝ってばかりだった。退屈だっただろうよ。それが、昨日から嬉しそうにしてると思ったら、お前の話をして…楽しかったって。昨日、ハイドラと戦ったときのことがな。」
ラズロは驚き、そして、胸にじわりとあたたかいものが広がるのを感じた。…嬉しかったのだ。彼女が自分と同じように思っていたことが。
昨日の戦いは、ラズロにとってもとても楽しかった。今だと思う時にリッカの火球が飛び込んできて、無理だと思った時には牽制の矢が飛びハイドラの追撃を抑える。まるで目の前に道が敷かれてゆくかのように動きやすく、戦いやすかった。苦しい戦いだったが、またあんな戦いをしたいと思うほど楽しかったのだ。
「とにかく、リッカはこっちに来てよかったと思ってるだろう。俺たちも嬉しいよ。…少し複雑だけどな。」
「そうだな。」
はにかみ合う二人を見比べて、ジュエルは首をかしげる。
「そういえば、3人はどうして海上騎士団に移ろうと思ったの?」
「…リッカは、しばらく前から言っていた。ラズリルに行きたいと。詳しくは聞いてないが、会ってみたい奴がいるらしい。で、俺たちは…」
「…言うなよ?…リッカを追いかけてきたんだよ。」
「ええっ!?」
ジュエルの声が色めき立った。この手の話が大好きな彼女のことだ。水を得た魚のように活き活きとし始める。
「ってことは…ふたりとも、リッカのことが好き…」
「お、おい!声がでかいって!」
咄嗟にジュエルの口を塞ぎ、少年たちはため息を吐く。
「…本国ではリッカを嫌いな男なんていなかった。皆の憧れだったよ、あいつは。」
そう苦笑する少年は、やはりどこか羨ましそうにラズロを見上げるのだった。