第一話 


「さて!第四班、担当上忍のすそのハジメだ。よろしくな!」

先日アカデミーを卒業したばかりの少年少女を見渡し、ハジメは笑顔を浮かべた。
いつ何時命を狙われるかわからない要監視のユキの担当になるとは。上層部からも特に里外へ出る任務の際は注意するよう強く言われている。木の葉で保護していることが水の国に知られているかどうかもまだわからないが、アカデミーを卒業する今日まで何事もなく平穏に過ぎていたものの、油断はできない。
それからあとは、木の葉で続く轟一族のコウライ。祖父のライガはとてもいい忍だった。そのライガが任務中に拾った孤児のイブキ。この二人は特に問題ないだろう。アカデミーでも真面目で優等生だった二人。だからこそ監視が必要なユキと同じ班に編成されたのだ。

「まずは自己紹介してもらおうか。じゃあ、お前から順に。」

向かって右端に立っていたコウライを見ると、コウライは人懐こい笑顔を浮かべた。

「俺は轟コウライ。じいちゃんみたいな忍になることが目標!イブキは弟みたいなもんだから、同じ班でよかったぜ。あと、ユキちゃんは俺が守るから!以上!」

イブキとユキが苦笑いを浮かべて顔を見合わせた。

「うん、うん、元気でよろしい。じゃあ次、イブキ。」
「はい。僕はイブキです。僕も、ライガさんのような忍になりたいです。あと、弟はコウライ。」
「なんだと〜!」

反論したイブキに噛みつくコウライ。それを見てまた笑うイブキ。仲がいいなあ、とハジメが笑うと、二人はどこか誇らしげにした。

「じゃあ最後、女の子。」
「はい。ユキです。目標は、男の子よりも強いくノ一になる事。たくさん修行をして、すごいくノ一になりたいです。」
「お前必要ないってさ。」

イブキがコウライをからかうと、コウライはぐぬぬと顔を赤くした。

「いやーみんな若くて元気でよろしい!それじゃ、さっそく明日演習をするから、今日はもう帰っていいよ。」
「え!?今日、もう解散?」
「ああ、明日は朝早いからな。」

物足りない顔をするコウライ。いや、よく見るとイブキとユキもそんなような表情を浮かべている。

「演習って、何をするんですか?」

イブキが尋ねると、ハジメはニコニコ笑った。

「俺が尊敬する三代目火影が編み出した、それはそれは厳しい試験だ。」
「え!?それって、どんな?」
「それは明日のお楽しみだ。だが、その試験に失敗した場合…」
「失敗した場合…?」

ごくり、と生唾を飲む三人を、ハジメは真剣な顔で見下ろした。

「アカデミーに戻って、最初からやり直しだ!!」
「…え、ええっ!?」
「それじゃーまた明日な〜。」
「ちょっと待てよ、先生!」
「あ!あと、朝飯は抜いて来ること!吐くからな。」
「…え!?どういう…」

コウライの声を振り切り、ハジメはさっさと姿を消してしまった。
残された三人は、不安と緊張が入り混じった顔を見合わせるのだった。



***



翌日、太陽も昇り切らない時間に演習場に集まった三人。
ハジメはすでに到着していて、腕を組んで仁王立ちをして三人を待ち構えていた。

「皆おはよう!」
「おはようございま〜す…」

コウライが目をこすりながら言い、大きなあくびをした。

「よーし、揃ってるな。じゃ、さっそくルールの説明をするぞ」

ハジメは張り切った様子でそう言うと、ポケットから紐がついた鈴を二つ取り出した。

「ルールは簡単。日が沈むまでに俺から鈴を奪えば



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