3 リツカのちから
「さーて、着いた着いた!」
コウライ、イブキ、リツカの三人は、森の中の演習場にやってきた。そこには誰かが作った丸太や手裏剣の練習用の的が設置されていて、誰でも自由に利用することができる。
「ほっ!」
コウライが早速手裏剣を的に向かって放ち、それは的の下部に突き刺さった。
「へへっ!どーだ…」
「ふっ!」
コウライが言い終わらないうちに、イブキが手裏剣を放って、ストンと的のど真ん中に突き刺した。
「…テメーやっぱいけ好かねええ〜〜!」
「リツカもやってみなよ。」
「おい無視かよクソイブキ!つーかリツカちゃんを気やすく呼び捨てしてんじゃねー!!」
「……。」
リツカは緊張した面持ちで手裏剣を構え、静かに放った。
それは的の手前で弧を描き、的のすぐ下の木肌にぶつかって地面に落ちた。
コウライとイブキは顔を見合わせた。六代目の娘と聞いたから、つい知らず知らずのうちに、リツカはきっと実力が高いだろうと思い込んでいたことに気が付いた。
「…リツカちゃん!俺が手裏剣術を教えてやるよ!いいか、…こう!シュパッ!とだな…」
「え?シュパ…?」
「コウライは説明が下手すぎ。リツカ、手裏剣を持ってみて。」
「……。」
「体の向きをこうして、腕を伸ばした時にこう…一直線になるように。投げるより飛ばすイメージで、それから…」
リツカはイブキの説明を熱心に聞き、姿勢を正して、勢いよく手裏剣を飛ばした。
カッ、と気持ちのいい音を立て、手裏剣は的の端に突き刺さった。
「やるじゃんリツカ、すぐにコウライを追い抜けそうだ。」
「んだとイブキこのやろ…」
三人はしばらく手裏剣の練習をして、昼が近づくと木の根元に座った。
「休憩しよう。僕、おにぎり持ってきたんだ。リツカも食べる?」
「腹減った〜!俺にもくれ〜イブキ」
「しょうがないなぁ…」
リツカはイブキに礼を言っておにぎりを受け取った。三人はそれを軽い昼食の代わりとした。
「なあ、お前の兄貴、上忍になったって聞いたけどほんとかよ?」
いち早くおにぎりを平らげたコウライが言うと、イブキはうっとうしそうに目を細めた。
「本当だけどそれが何?」
「えっ!だってなんかすげえんだろ?ここ10年では最年少って聞いたぜ」
「最近は平和だからなー。」
「お前…ひねくれてんな〜!!」
言い争う二人をよそに、リツカは黙々とおにぎりを食べる。