プロローグ

いくつもの世界を渡り歩いた果てに、私は界王になった。

界王の間で、ポーンのソルと過ごす毎日。
ソルも、ずいぶん感情を表に出すようになってきた。
きっと、次の『魂』が見つかる日は近い――。私はリディアを見つめ、思う。

今まで渡り歩いてきた世界のことを。
惜しまれ別れを告げてきた日々を。
身を切る思いで離ればなれになった愛しい人を。

かなう事ならば、もう一度そこに身を置きたい。

眼下に広がる世界を見つめ、私は手を翳す。
ドラゴンを生み出さねばならなかった。
この世界に試練を与えるために。
この私を終わらせるために。

だけど――。

私は身に満ちる力の全てを、自分の願いが燻る胸の奥へと流し込んだ。
胸元の傷が――覚者であった印が――強い光を放った。

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