20XX年、春。日本で、新たに3人の、光の能力者が現れた。
光の能力者は、国に多額の御礼金が支払われるので、国を挙げて『お見送り』される。

3人も同時に現れるのはとんでもなく稀なことで、今回の披露会は国を挙げて盛大に執り行われる。

私は控室でメイクをされ、髪をセットされ、光をイメージした白いワンピースドレスを着せられて、時間が来るのを待っていた。他の2人の能力者はまだ知らない。知っているのは、ニュースで報道された、私と同い年の男の子と、3つ年下の男の子、という情報だけ。
私は能力がわかった次の日から、家族とは会えなくなる。シルシフの住人になるという事は、そういう事だ。地球からシルシフへは行けても、シルシフから地球へ来ることは認められていない。未知の病原菌が上陸する恐れがあるからだ。他にも、入国許可や船の着陸場所などの問題もある。どこの国も、シルシフの着陸を認めない。ただひとつ、多額の御礼金をもらえる『光の能力者』を受け渡すとき以外は。
それ以外の能力者は、地球上での共存が難しく人権侵害が認められるため、保護の目的で『光の能力者』がシルシフの船に迎えられるときに、一緒に引き渡される。だから、今回も何人かの能力者が他にいるはずなのだが、この披露会にはあくまで『光の能力者』のみしか招かれない。

突然ノック音が響いた。
「……はい?」
かろうじて返事をすると、扉の向こうから恭しい声が返ってきた。
「失礼いたします。お時間でございます。」
私は立ち上がった。
「はい。」




舞台袖に立つと、既に会場から溢れんばかりの拍手が響いてきた。私のほかの二人は既に舞台に立っている。女の日界の能力者は特に珍しいから、私は一番最後に登場させたいらしい。
拍手がまばらになり、司会者の声が響く。
『それではお待ちかね!光の能力を授かった3人目、“光の乙女”の登場です!』
私は歩き出す。暗い通路から眩しいほどの舞台へ。

『さて!これで3名の光の能力者がそろいました!一人目、カイさん。二人目、ソルさん。三人目、今回日本で初めての女性、キナさんです!』

その時私は初めてふたりと対面した。
カイ君は、私と同い年だけど大人っぽい落ち着いた雰囲気で、よく日に焼けた健康的な男の子。
ソル君は、色白で色素が薄くて、どこか不安げな男の子。
私は、どう見られたかわからない。けど二人の間に立って、言葉は交わさずとも、どこか、運命共同体のような一体感を感じた。

披露会は恙なく進み、私たちは檀上の披露席に座らされる。こんなに傍にいるのに、そして同じ光の能力者なのに、私たち3人は披露会の間、一言も話さなかった。そんな隙もないほど、次から次へと人がやってきて、めまぐるしいのだ。

そうしているうちに、能力披露の時間になった。
カイ君から順番に壇上に立って能力を披露する。

カイ君が壇上の中央に立つと、場内が静まり返った。途端に、変化が起こった。カイ君の足元から、青々とした草花が溢れるように伸び咲き乱れたのだ。
これは土と水の能力を持つことを意味する。二つの能力を持つうえ、それを融合させるほどの力を持ち、さらに光の能力まで。とても希少な事例だった。場内が沸いた。

次にソル君の番がきた。ソル君は、

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