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翌日の朝、忙しい足音とともに牢の前にグレンが騎士を引き連れて来た。

「君たちを解放する。領主に、騎士団が警戒を続けることを条件に、君たちを自由にする許しをもらった。今しばらくは見張りをつけさせてもらうが、自由に島内を歩いてもらって構わない。今まで申し訳なかった。」

グレンが言うと、騎士が牢の鍵を開け、扉を開いた。

「島からは出られないのか?」

リヒトが牢を出てグレンに尋ねると、グレンは心苦しそうに眉を寄せた。

「すまないが、今は連絡船が出ていないんだ。近海に海賊の目撃情報があってな。」
「そんな…じゃあ、この島にいなきゃならないのか」
「お詫びと言っては何だが、食事と寝床は保証する。ここの食堂を自由に使ってもらって構わないし、少々狭いが館内の個室を用意させる。」
「そりゃ、こっちは仕事も金もないからありがたいけど…」

困ったように頭をかくリヒトの隣に立って、私はグレンに頭を下げた。

「ありがとうございます。」

するとリヒトもならったように頭を下げた。

「…何か困ったことがあったら言ってくれ。ほかに何か質問はあるか?」

グレンの問いに、私とリヒトは顔を見合わせた。そして、私はグレンを見上げた。

「お風呂に入れるところはありますか?」
「レイちゃん、そこ?」
「だってもう2日もお風呂に入ってないんだよ?」

言い合う私とリヒトを見て、周りの騎士たちの表情が緩み、小さく笑いが起こった。そしてグレンを見ると、彼も少し表情が柔らかくなっている。

「そうだな…館の浴場を使ってもらって構わない。島の広場にある宿の浴場のほうが快適だが、そっちは有料だ」
「わかりました。ありがとうございます。」

私はお礼を言って、リヒトと一緒にようやく館の外に出た。
ひとまず別館の浴場へ行って久々に汗を流してスッキリしたところでリヒトと合流し、グレンに言われたとおり食堂へ向かった。
もう遅い時間だからか、食堂には誰もおらず、話が通っていたのかすでに用意されていた食事を受け取って、私たちは席に着いた。

「前から思ってたけど、ここの飯うまいよな。牢での唯一の楽しみだったぜ」

ご満悦のリヒトに微笑みを返し、私も食事を口に運ぶ。確かにおいしい。
サラの料理ももちろんおいしかったけど、ここの料理はとても洗練され絶妙な味わいで、美味しいお店みたいだ。そういえばここの食事はあの料理人のフンギが担っているのだし、彼の料理はゲームでも大好評だった。

「なあ、これからどうする?」
「うーん、団長さんはああ言ってたけど、しばらくこの島にいなきゃならないならとりあえず仕事を見つけて、できるだけ早く館を出たいな。ずっとお世話になるのは肩身が狭いから。」
「そうだな、じゃあ仕事を探すか。」

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