ずるい、人。

こんな周助、あたしは初めてみた。
憂いを帯びたその顔が。あたしを虜にする。





「ね、お願い。今日は離したくないんだ」


冷たい空気が吹き付けて夜の帳が下り始めた頃。
久しぶりのデートで、もう帰らなきゃ……なんて話してたところだった。


「……ダメ、だよ。だって」
「わかってるよ。僕の要求が難しいってことくらい」


あたしだって離れたくない。
でも学生の身分で大人ほど、そう簡単に離れないで済む方法なんてないことは、胸が痛くなる位に知ってる。

だからこそ、会えた日はとびきりにいい日にしたくて……周助もあたしもお互いに可愛いワガママを言ったりしてるんだけど。


「……どうしたの?珍しいよね、周助がこの手のワガママ言うの」
「また暫くこうやって、並んで歩くことができなくなるなら……だったら今日もっと一緒にいられたらいいのにって思って」
「周助……」


いつもどこか冷静で。
確かにあたしに無償の愛をすごくくれる人、なんだけど……。
こうやって駄々をこねるように、ストレートにあたしを求めることなんて、今まで無かったと思う。

返答を渋ってると薄らと目を開き、上目遣いでわたしを見遣る周助。その瞳があたしを射抜く。心臓が高鳴って、まるで自分のものではないような、鼓動が激しく打ち続けるなにかを植え付けられたようで。


「ねぇ。ダメ?」
「だっ、て……そんな」
「お願い。そばにいて」
「……ッ!」





そんな顔で、声で、そばにいてなんてずるいよ。
否定的な言葉なんて、出せなくなる。



♡thank ÿ٥ϋ(*Ü*)♡……確かに恋だった

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さいととっぷしょうせつとっぷ