Lupin


プロローグ



暗殺教室を卒業して数日後、思いもしらなかった出来事が起きた。

部屋で殺せんせーが作ったアドバイスブックを読みながら、のびのびと過ごしていると姉さんがきた

「 沙織、お客さんだ」

相変わらず淡々と話す姉さん

しかし、私にお客さんって…
姉さんがお客さんって言うってことは、E組の皆じゃないってこと

さらに客間にいるらしく珍しい…。

扉の前で深呼吸してからノックし中に入ると…

「初めまして、工藤優作だ」

「私は工藤有希子です」

血の繋がった父親とその妻がいた

名前を聞いた後は名前で返す

「八神沙織です」

ソファに腰を掛け、私は尋ねた

「今日はどうしてこちらにいらっしゃったのですか?
推理小説家である優作さんと元人気女優である有希子さんが私に何の用事なのか検討がつかないのですが。」

丁寧に失礼のないよう、聞き取りやすい声で話してみるとご夫妻は驚いていた

「迎えに来たっていうところかな…」

私の父が言う

迎えに?ってそれはつまり

「それはどういうことですか?」

「実はね…私が大学生の頃、ゼミの卒業生であった君のお母さんと交際したことがあったんだ。
知らなかったから許されることではないと承知だが、私は人妻に手を出してしまった。というより攻められたのだが…そこは置いていて。
そのとき、出来たのが君だ
私は君の父親にあたる。」

私は工藤優作が父親であること、今は別に妻がいて、その妻との子どもがいることしか知らなかった。

母は、不倫をしていた
本人が自白はしてたけど、聞いたときはあまり気に留めてなかった。


「私がいることを知っていたのですか?」

「ああ、君のお母さんにあった最後の日
自分には夫がいて子どもがいるとこのこと。そして、現在私の子を妊娠したと聞かされた。
私はショックで他にも何か言ってはいたのだが、聞き取れてなかった。

だが、不倫の相手になってしまったこと
そして、彼女との子は私は育てられないことは理解していた。

それから、暫くして妻、有希子と出逢った。

私はずっと君のことが気がかりだった。
ずっと妻に話すことも出来ず、1年前やっと話したんだ」

私はこの人を責めることは出来ない
聞きながら、私自身をこの人と置き換えていた。

「私、彼が何か抱え込んでいるのはわかってたの。
でも、聞くことは出来なかった。
私ねあなたのこと、あなたのお母さんのことを知ったとき少し嫉妬はしたわ。
それでも、彼はもう一度あなた達とあうべきだと思った

橘家に私も一緒に行ったのだけど、あにたはいなかった。
1年間ずっとあなたを探していた
事情はわからないけど、悲しい思いをしてると思ったから。
その時は一緒に暮らしたいと思ったの。

それがここに来た理由よ、沙織ちゃん。」

有希子さんは愛おしそうに優しげな眼差しでそう仰った

「そうですか…私はあなた達と暮らしたくないです。
今日初めて会ったということも理由の一つですが、1番は遅すぎですよ。
正直に言い過ぎかもしれませんが、来るのが遅すぎです。

私が何故、幸せに橘家にいれると思いですか?」

彼らは一言も幸せに暮らしていたであろうとは言わなかった。
それでも、そう言わずにはいられなかった。

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