Lupin


プロローグ



私は橘家にいたときのことを少し思い出していた。

「私は望まれてない子です。
家に居場所がなく、それだけでなく虐待されていました。
とても幸せとは程遠い家庭でした。
姉と妹と大違いでした。

私は、7歳の頃家出をしました。
その時からずっとここで暮らしてます。

私はもう家族がいます。
ここが、児童養護施設だから一緒に暮らしたいと思ったのかもしれないですが
私の家族はここで暮らしてる皆です。

だから、遅すぎたのです。
中学になるときなら…私はきっとあなた達と暮らしたいと言いましたから。」

中学に入学する直前から、E組に行く前ならきっと。

有希子さんは感性豊かなんだろう、今の言葉で涙を流していた。

この2人がつくる家庭は橘家と大違いで暖かいんだろうな。
ここも負けてないんだけど。


「そうか…本人の意志を曲げてまで一緒に暮らしたいとは言わない。
これは私の我儘になるのだが…月に一度……半月に1度でもいい
私たちとあってくれないか?」

何故そうなるのか私は理解できなかった
でも、答えは決まっていた

「無理です。
私は半月後には留学します。」

もし留学しないなら受けていたとは限らない。

一つ、私はしたいことがあった。

「あの…もし良いと言ってくださるならお願いしたいことがあります。
もし引き受けてくださるなら、あなた方のことも家族だと言わさせてください。」


そのお願いを引き受けてくれて、何度か会ううちに彼らに私は心をひらいていった。


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