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この世は戦乱の世。
強い者が生き残り、弱い者は朽ち果てるのみ。
力だけが全て、そんな世に最強の妖怪がいた。
名は………。


「ほほほ、これはこれは…何とも可愛らしい小鳥ではないか。さぁこちらにおいで。」
「母上…」
「よく笑うではないか、ほう…誰かの息子と違って可愛いのう…わらわが貰ってやるぞ。」
「ごぼーどーさまぁ。」
「まぁまぁ、ほほほ。この堅物よりわらわと遊ぼうのう。」
「母上…!」
「その辺にしないか?そろそろ拗ねてしまうからな!」
「それもそうじゃな…して、本当に良いのか?この意味、分かっておろうな?」

1匹の子犬と1羽の小鳥が出会ったのは、不遇にも国を保つ為であった。

「子奴を預かるのは構わんが、戦は知らぬ、そちらで片付けることだな。滅べばそれまで。なに、この娘は育ててやる、安心しろ。」

一枚の絹のような羽だけを握っていた。
それが私達の仲間が生きていた証…

「ふん…あんな出来損ないの国など勝てる筈が無いであろう…さらばだ、金霊鳥族よ。」
「真に哀れではあるが、我等の知ったことではない。だが、この娘は宝……」
「おーさまー?」
「おおう!私は闘牙王だぞ〜〜まことに愛くるしい!」
「止めろ!これはわらわの物じゃ。さぁさぁ向こうで粧しをしような。」
「………父上…あの者は。」
「案ずるな、あれはお前が貰うものだ、まぁ少し早いがな。大事にしろよ?」

今は途絶えた血を持つ妖怪…それが私だった。