お誘い1

「今度ダブルデートしましょ!」
「え……良いけど…どこに?」
「いいお店見つけたの!それにこの間、琥珀君からデートスポットも聞いちゃって!」
「へぇ……琥珀君ってそういう情報も気にしてるんだ…」

いつもの様にかごめの悪い癖が発動し、予定のない日にダブルデートすることになった。

「あぁ、今日は手伝ってくれてありがとう。」
「お互い様でしょっ。でも珍しいわね、こういう事もするんだ?」
「うん、手入れはしないと変な妖怪が寄り付いたりするらしいから。」
「治安維持ね、確かに大切なことよ。」

お礼に犬夜叉と食べて、とサツマイモを渡して別れた。
それにしてもデートかぁ……久しぶり、かも…


「殺生丸、3日後って何も予定なかったよね?」
「……」
「あのね、かごめが一緒に遊びに行こうって。」
「………私もか。」
「うん、デートだよ。かごめも犬夜叉とで、ダブルデート!」
「………よく分からぬが、私と行きたい所があると言いたいのだな。」
「かごめはいいお店を見つけたっていう事と、デートスポットを見つけたっていう事だけなんだけどね。」
「…そうか。」
「人…多い所かもしれないけど、良い…?」
「あぁ……お前が望むのであれば。」

人間を毛嫌いしている私の心情を案じてか、不安げに尋ねるさくらに愛しく思う。
大丈夫だと確認でき、安堵する態度は可愛らしい。
私も随分、我儘とやらに甘くなったものだ。


「えー?!かごめ、とっても可愛い!」
「さくらこそ〜!おめかしして可愛い!殺生丸もいつもよりラフなのね〜っ!」

普段とは違って少し化粧をしたかごめはとても綺麗で、祝言の時を思い出す。

「ケッ!きょーはお互い楽しもーぜ。」
「………」
「じゃ、さっそく行きましょ!」

と、かごめはいつもの様に犬夜叉の背中におぶさる。
ちょっと羨ましくて、でも頼む勇気もなくて普段通り抱えてもらう。

「殺生丸ってお姫様抱っこ派なのよね…」
「それってどういう意味…?」
「犬夜叉はずっとおんぶだからちょっと憧れちゃうなって。」
「な、なんだァ?嫌なのか?」
「ううん、そうじゃなくて…お姫様抱っこって女の子の憧れじゃない。」
「まぁ…確かに…?」
(でもさっきまでおんぶに憧れてたけど…)


「ここよ、ここ!」
「わぁ…!凄い!渡し船がいっぱい…!」
「さ、乗りましょ♪」

舟守にお金を渡し、遊覧を楽しむ。
川の中にいる魚を釣ったり、ちょっとした鍾乳洞を見に行ったりと、かごめとはしゃいで楽しんだ。