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「じゃあ行ってくるわね。」
「うん、楽しんでってね。」

次の日の夕方前、玄関でオシャレをした3人を見送る。
明日の夜までかごめが帰ってこない限り、一人ぼっち。
でも、そんなの気にしていられない。
貯めに貯め込んだ問題集に参考書。これをちょっとでも進めないと…
(……静か…………まるであっちの世界みたい。)
ううん!当たり前じゃん!カーテンは締めきってるし、誰もいないし!
落ち着かず、ベッドにもたれかかる。
(………小鳥のさえずりに銀色の髪……)


目を少し閉じていただけだと思っていたのにいつの間にか寝ていたみたいだった。

「…ぅあ…最悪………時間が…」
「………無理はするな。」
「…はーい……………って殺生丸?!」
「…………」

ど、どうして……??!!!呼んでなんかいないのに……

「……お前の声が聞こえた…」
「………っ………ぅぅ……」
「…泣くな。」
「…っ…会いたかった…!さみしかったの…!!」

鎧を脱いでいる殺生丸の懐に泣きつく。
…泣いたって困らせるだけなのに。


「…落ち着いたか。」
「……グスッ……う、うん……ごめんね…」
「家の者はどうした…?」
「…明日の朝まで泊まり……」
「…そうか。」

殺生丸が隣にいるだけで、落ち着く。
たとえ会話がなくたって、それだけでも充分。