10.謝必安
夕立が降る外を眺める。
雨というものは、何か人の気力を奪う力でも宿しているのか。
館で過ごす皆さんもどことなくつまらなさそうに、少し薄暗い大部屋で各々過ごしている。
あの子は今ゲーム中でいない。
後でてるてる坊主でも作ろうか。
「謝必安さん、何を見てるの?」
「…雨空ですよ。」
「……雨早く止んでほしいなの。」
「もうすぐ止みますよ、あちらの方が明るくなってますから。」
「謝必安さんとっても目が良いの!エマにはちょっと遠すぎて見えないの。」
「おや…でももう少しの我慢ですから。」
エマから視線を外し、遥か遠くを見つめる。
何を考えることもなくただ…
ガチャリと扉の開く音がすると共に賑やかな話し声が流れ込む。
どうやらゲームが終わったみたいだ…
賑やかさに意識が戻ってくる。
「必安、何を見ているの?」
「おかえりなさい、サクラさん…ただ遠くを見ていただけです。」
エマさんと同じ様に何を見ているのか聞かれた。
特に何も見ず、ただあなたを待っていたというのに。
「まだ雨降ってるんだね。」
「もう止みますよ…ほら。」
「あ……本当だ、夕日が見える…」
「…止まない雨はありません…から。」
そう言ってふわりと微笑む必安。
その言葉は雨の日にあまりにも塞ぎこむ必安に言った言葉。
雨は必ずいつかは止む。
必安の自縛もきっといつかは。
「雨、少しは克服出来た?」
「克服かどうかは分かりませんが…」
「……」
「少しは救われていますよ。」
この世界に君がいるから
(独りだと泣かなくてもいい)
(彼も愛したあなたの為に生きる、と…)