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ここは荘園。
それぞれに事情を持った人達が集まり、サバイバルゲームを行っている。
荘園の主と呼ばれている人が管理者で、その顔は誰も知らない。
ただ私達、サバイバーは与えられたゲームをこなすだけ。
それ以外はほとんど自由だが、元いた場所に帰ることは出来ない。
集められたサバイバーもハンターも男女混合で、それぞれサバイバーだけが過ごす館とハンターだけが過ごす館に分かれている。
その館は隣接していて個人的にハンターがサバイバーの館に遊びに来る事も少なくない。
それなりに付き合いも長く、ゲーム外ではお互い仲のいい同居人になっていた。
勿論恋沙汰も生まれ、サバイバー同士のカップルもいる。
仲睦まじい姿を広間で見せられるのは微笑ましいというか、照れくさいというか…

「サクラ、今日もリッパーさんが来てるみたいなの。」
「えぇ…?リッパーさんこっちに来るの好きだよね…」

リッパーこと切り裂きジャック。
彼はあまりジャックと呼ばれるのが好きではない様で、みんな通り名の「リッパー」で呼んでいる。
そんなリッパーさんは自称紳士と謳い、よくお茶会を開きに遊びに来るのだ。

「でも今日はもう一人一緒に遊びに来てるみたいなの〜。」
「え?もう一人?」
「ジョゼフさんが来てるみたいなの〜。リッパーさんと趣味が同じらしくて、よく話をするらしいの。」
「へぇ……リッパーさんって確か、元々は画家さんなんだっけ?」
「そうなの。ジョゼフさんは『写真家』だから、芸術系が好きなのかもしれないの。」

ジョゼフ……噂では現実世界と写真世界では姿が違うって聞いた事がある…
いつもハンターで会う『写真家』の姿じゃないジョゼフさんって、どんな容姿をしているんだろう?

「エマさぁん、サクラさぁん…今日もよい天気ですね〜。」

鼻歌混じりに声をかけるリッパーさんは今日もご機嫌だ。

「リッパーさん、こんにちわなの!ジョゼフさんも!」
「あぁ、エマだね…隣の彼女は?」
「この子はサクラなの!会ったことある筈なの!」
「へぇ…君、サクラって言うのかい。」
「こ…こんにちわ……」

銀色に煌めく髪に青空より澄んだ瞳。
スラッとした立ち姿は優雅だ。
一言で言うと、とても綺麗な男の人。
そんなジョゼフさん相手に恥ずかしさも交えながら、いつもの人見知りが浮き出る。

「サクラは人見知りだから御手柔らかにお願いしたいの。」
「そう…それで怯えているんだね。まぁ良いよ…今日はよろしく、サクラ。」
「……」コクリ
「マイスゥイ-トハニ-!ア-ンドマイスゥイ-トシスタ-のサクラ♪今日もお茶会かい?」
「ピアソンさんはお呼びじゃないです。」
「お前に聞いてない。」
「今日はトレイシーとヘレナもリッパーさんとお話したいらしいの。呼びに行こうなの!」
「うん、行こっか。」

良かった…ジョゼフさんから離れられる…
あまり知らない人と長くいるのは落ち着かない。


「フフ…ジャックの言う通り、こちらに来て良かったみたいだ。」
「貴方、サクラが気になっていたのでしょう?」
「あぁ、他のサバイバーとは違って、彼女は一段と怯えている印象があったからね。」
「分かります。皆さんそれなりに気が強い方々ばかりなのに、彼女は根っからの気弱な性格だ。」
「苛めたくなってしまうね…」
「エマさんに御手柔らかにと言われたでしょう?」
「それもそうだったね。」