どうしてここに来たのか。
どうして戦うのか。
どうしてまだ骨になっちゃいねぇのか。
ふとそんな事を考える。

クシャナーダにゴミみてぇに扱われ、周りの奴らは日に日に衰弱する。
みっともねぇ汚ぇ面を晒しながら、どうにもならない地獄を彷徨う。

業火に焼かれ、長い年月を過ごした証に腐敗した顔の半面。
外される事のない鎖…

あーぁ、また何も出来ずに死んだ奴がいる。
悲鳴がこんな所にまで聞こえて不愉快でしかない。
クソみてぇな…いや、クソそのものな世界。
俺の妹は今何をしているんだろうか。
極楽浄土とやらで毎日、何不自由なく過ごしているのだろうか。

「コクトー。」
「………」
「コクトー?」
「……ん!何だ?」
「凄くぼーっとしてたから…何か考え事?」
「まぁ、そんなとこかな。対した考え事じゃねぇけど。」
「そう?なら良いんだけど…」
「今度はどういうシチュでヤってやろうかなぁ、ってな。」
「っ?!へ、変態!!」
「フッ…クク…ッ」

俺の妹の親友だったさくら。
妹が殺された時に一緒にいたが、自分は生き残り病院で毎日、守ってやれなかった事を悔やみ泣いていた。
復讐してやると告げた時、自分にも手伝わせてほしいと言った。
そして共に地獄に堕ちた。
綺麗な長い髪も俺と長い時間を過ごしたせいか、下半分はミイラの様になっている。

「なぁさくら…」
「ん?」
「もし地獄から解放されたら…何がしたい?」
「……んー………」

咎人である証拠の鎖が動くたびに音をたてる。

「コクトーは何したいの?」
「俺か?俺は妹に会って謝りたい…謝れなくても一目会いたい。」
「私はそれを叶えるお手伝いをさせてほしいな。」
「お前…手伝いばっかじゃねぇか。」
「えへへ……」
「もっと自分に正直になったらどうなんだ?聞いてるのはどうせ俺だけなんだしよ。」
「えー……うーん…」
「あるんだろ?笑わねぇし、ただの夢なんだから言えよ。」
「………転生した先でもコクトーと…一緒に…いたいな…って。」
「……………」
「…………」
「じゃあ…俺がそれを叶えてやれる様にしなくちゃな?」
「…!」
「嬉しいぜ、こんな俺でもずっと隣にいようとするお前が好きだ。」
「こ…コクトー……」
「あの時、復讐の道に走らなければどういう人生を送ってたんだろうな。」

復讐をしたって結局は虚しさと、さくらを巻き込んだ事への悔やみしか残らなかった。
あの時もし、さくらの静止の声を受け止めていれば、どんな日々を過ごしていただろうか。