炭酸れもん@




「ああ〜うまい!」

『今日も良い飲みっぷりで』





目の前でレモンサワーをグビッと一気飲みした彼女は同じ事務所に所属するソロアーティストの山田花子。
俺が二代目として活動を始めた頃からの仲でいわゆる同期ってやつ。

もう長いこと一緒にいるから腐れ縁というか、仲間って感じ。
そりゃまあ俺だってね、仲間とか言いたくないですよ。好きだもん、ずっと、一番近くで見てきたんだから。でもまあ、そうも言えない立場にお互いいる。


歳も近いから、未だに二代目メンバーと花子と8人で飲むことも多い。

そして花子は俺らが新譜を出す度にこうやって飲み会を開いてくれる。三代目でもEXILEでも、多分SECONDも。





今回は俺とサシ。

昔は良く2人で飲んで、花子が酔っ払いながら歌う歌を聴きながら帰ったりして。今じゃもうそんなこともできないけどね、







「ふふふ、直人も飲みなよ〜」

『俺が飲んだら誰が花子を家まで届けるんだよ』

「平気だもん、1人で帰れるし」

『そう言っていつも潰れてるじゃん』

「……直人うるさい」








飲み始めて2時間花子は酔い始めていて、少し頬が赤い。


ああ今日も家まで送ってあげないとかぁ……。みんなで飲んでも、2人で飲んでも花子を送るのは何故か俺の役目だった。






「直人はさ、結婚とか考えてるの、」

『……は!?』

「声デカイ、お互い良い歳じゃん?周りからも結構言われてさ〜」

『俺は別に…花子は?』

「私は…どうだろ、そろそろ結婚したいかなあ」






突然そんな話題を出されて、ビビるし焦った。"結婚"今までも何回も頭をよぎった言葉だけど、何回も塞いできた。
そうか、花子もそういうこと考えるのか。なんか嫌だなあ……。






『相手もいないくせに』

「ウザ〜!お互い様じゃん」






「ま、しばらくは良いや〜」とケラケラ笑う花子を見て安心したけど、少し寂しかった。いつか俺の知らない男と結婚するのか?いや、知ってる男でも複雑だ。



むしゃくしゃして俺もレモンサワーを勢いよく流し込んだ。






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