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『先輩、私この後ピアノのレッスンあるので。他の暇そうな女子でも誘ったらどうですか』


「つれないなぁ〜、まあそこが花子ちゃんの良いとこだよね。」


『良いとこって…』


「だってさ〜他の女子ならベタベタ触ってきてさ〜」



『いや、でもそれ先輩が先に声かけてるからじゃないですか』



「んなことないよ、俺がいると女子が勝手に来るの」









わぁお、そんなこと言って見たい。この人はよくもまあ真顔でそんなこと言えるな、もはや尊敬。









『モテるのもそれはそれで大変なんですね』


「まあね〜花子ちゃんもモテるでしょ?」


『全然ですよ、その質問失礼です』


「え〜、そうなんだ〜モテないんだ〜〜」








うるさいなこの先輩。モテるやつからの「え、告白されたことないの?」的な発言のウザさったらないですよ。モテない人の気持ちを考えてくれ。








「まあいいや、じゃあ帰ろっか」


『は?』


「は?じゃないよ、一緒に帰ろっかって」


『いや、なんで…』


「部活の先輩が後輩と帰るのの何がおかしいのさ」








う…そう言われるとおかしくない。おかしいと思ってしまうのはそう、相手が白濱先輩だからであろう。

しかしこんな人でも一応芸能人。私のような明らかな一般市民と歩いている姿を見られたらまずかったりしないのだろうか。さすがにありえなすぎてパパラッチも見逃すからなのか?







「ああもうほら、早く行かないと遅刻しちゃうよ!」





そう言って先輩は私の手を取って歩き出した。




『え、先輩!手!』


「ん?先輩と後輩が手を繋いで何がおかしいの」






おかしいとかそう言うんじゃ…。いや、おかしいか。これはおかしい。
それになんだか顔が熱い。握られている右手も熱い。熱があるのかな、もう夏が近いのかな、








「ふふっ、花子ちゃん顔真っ赤」









ああ、また白濱先輩のせいだ。



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