11
いつも一人で歩いている道を今日は先輩と二人で歩く。なんか変な感じがする…。
「どうしたの、照れてる?」
『そんなんじゃないです!!』
「え〜残念〜」
こんな誰にでもへらへらしてる人相手に照れたりなんてないです…絶対。
あ…もう着いちゃう。
「ここらへんだよね?」
『はい、ここの角を曲がったところです』
「… …」
『先輩…?』
「花子ちゃん、その顔わざと…?」
『は?』
「さみしそうな顔してる、そんなに俺と離れるのさみしい?」
『何言ってるんですか、頭でも打ったんですか』
「あれ〜いつも通りの花子ちゃんだ」
さみしそうな顔なんて、してないはず。なんて考えていたら右手が解放される。
「じゃあピアノのレッスン頑張ってね、」
『えっと、送ってくれてありがとうございました…?』
「なんで疑問形なのwwどういたしまして、帰りも気を付けてね」
『はい、先輩はこの後…』
「何々〜俺がこの後知らない子とデートに言っちゃわないか心配なの〜花子ちゃんもかわいいねえ〜」
『じゃあレッスン行ってきます、さようなら』
「ちょっちょっと、嘘だって〜俺はこの後トレーニングに行くよ」
『仕事はお休みなのに大変ですね…』
「うん、でも花子ちゃんと話したら元気でた〜じゃあまたね」
バイバイと手を振って走って帰る背中を見送る。あれ、なんだか右手がさみしい…。
『先輩の手、暖かかったな…』
今日はなんだかレッスンに集中できなかった。
←- 11 -*前次#ページ:
ALICE+