白濱














「ねえ、いつチョコくれるの」


『だから、仕事が終わったらね』


「さっきからそればっかじゃん、いつ仕事終わるの〜」


『もう少し』


「もういい!!」











せっかくのバレンタインデーなのに俺の彼女が冷たい。いや普段から冷たいんだけど、今日は特別に。
ずっとパソコンにかじりついてるし、おーい彼氏さんがおうちに遊びに来てるんだよー!!


てかこんな感じじゃきっとチョコ作ってないんだろうなあ…買ってすらなさそう、でも嫌いになれない。むしろ大好きだし。





でもそろそろかまってくれないと俺だって拗ねちゃうんですけど。












『亜嵐、』


「… …」


『ねえ、亜嵐ってば…』


「…なに、」


『なんでそんなに拗ねてるの』


「そんなの花子が…!!」


『私が?』


「… …」


『かまってあげないから?』


「… …」


『はい、図星ね』








うわ、言い当てられちゃった。でも俺今回こそ許さないし。仕事が片付いたのかストレッチをしてから立ち上がって冷蔵庫を漁り始める。お夕飯ハンバーグでも許さないよ、俺は。








『はい』


「は?」






冷めた声とともに上から投げられたのは白い箱。






「なにこれ、石鹸?」


『おい、絞めるぞ』


「さーせん」








じゃあなんだ、開けてみれば少し形の悪いハート形のチョコレート。驚いて花子の顔を見れば耳まで真っ赤にしてそっぽを向いている。
なんだよこれ…可愛すぎるんですけど。

彼女を後ろから抱きしめれば照れくさそうに顔をうつむかせる。










「ありがとう、めっちゃ嬉しい」


『うん、』


「ねえ、これ手作りでしょ?俺のために作ってくれたの?」


『うん、』


「ふふっ…可愛い、ありがとな」


『うん、』











うんしか言わない笑

こんなに照れてる花子は貴重だしなんかこう、いじめたくなる。









「顔見たい、」


『いや、』


「こっち向いてよ」


『じゃあ亜嵐はあっち向いて』


「見れないじゃん」


『うるさい』










ふふっ、ほんと可愛い。

無理やり彼女の顔を俺の方に向かせてキスをすればさらに真っ赤になって俺の胸を叩いてくる。








「花子痛いって笑」


『うるさい、亜嵐が悪いんだもん』


「だもんって、可愛いなあ。もっとチューしていい?」


『これ以上したらもうハンバーグ作ってあげない』


「ええ〜それはなしだなあ…、じゃあ辞めとくか」


『… …嘘、もっと』


「もっと…?」


『分てるくせに…』


「俺バカだからわかんないなあ〜」


『ウザい』


「なんとでも、」








いじわるをすれば悔しそうに俺をキッと睨みつけてくる。おいそれ彼氏に向ける視線かよ笑。まあそんなところも好きなんだけど。

ジッと下を向いてしまって、ああもうこれ以上は今日は無理かと思えば、体を俺の方に向けて俺の服をギュッと握る。






『もっとチューして…』







やっぱり俺の彼女は世界一可愛いわ、こんなこと言ったらウザいって言われそうだけど。


大好きだよ。







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