小森







俺の思い人はGENEのマネージャーの山田さん。若いのに俺らのためにいつも頑張ってくれていて、メンバー全員が信頼しきっているし、みんな好きだ。
でも俺はみんなとは違う好き、本気で好き。







『はい、今日の仕事はこれで終わりです。皆さんお疲れ様でした』


涼「花子ちゃんもお疲れ様」


玲「おつかれ」


『ありがとうございます』


龍「なあ今日何の日か覚えとるよな?」


『今日ですか…?えっと、あっバレンタイン!!』






待ってましたと言わんばかりの拍手。ちょ、ここ事務所の廊下だし、と思いつつちょっと期待してる。いやね、ギリでも山田さんの手作りチョコとか嬉しいよ。あれ、手作り…だよな?



山田さんは肩にかけていたバックから同じ大きさ同じ包みを7つ取り出して一人ずつに配る。あ、みんな一緒か、そうだよなあ。






裕「花子ちゃんありがとう!」


メ「めっちゃうまそう!!手作り??」


『いや、市販です。大事なタレントさんに私の手作りとか渡せませんよ笑』


玲「うわ〜明らかな義理じゃん」


涼「まあまあ、ありがとね」


龍「ホワイトデー楽しみにしといてな」


『ありがとうございます、はい、じゃあもう遅いので皆さん帰ってください〜ゆくっり休んでくださいね』


「はーい、また明日」






ほんと、明らかに義理だなあ…。まあそうだよな、山田さんにとって俺らは大事な商品なわけだし…。





玲「はい、隼落ち込みすぎ〜」


「玲於うるさい」


龍「エレベーター来たよ、はよ乗りな」


「うん…あっ、やべ、スマホ忘れた…先帰ってて」







どこに置いてきたんだろ…会議室?でも終わった後は持ってたしなあ…廊下に落とした?いやまさか俺だってそんな馬鹿じゃないしなあ…。
仕事を増やしてしまうのは申し訳ないけど山田さんに聞いてみよう。




彼女は何処だろうとキョロキョロしていれば近くにいた人が「あそこの黒い塊だよ」なんて指差す。うつ伏せで寝てますね。
彼女のデスクにはそれはもういたるところに付箋が張られて、書類が散らばっていた。しかもスマホが2台もある。仕事用とかいろいろ分けてるのか?
って書いてあること全部俺らのことじゃん…。ほんとありがたい。




ってあれ俺のスマホだ、ん?何か付箋貼ってある…










"コモリさんに忘れ物注意する"







おお、俺注意されるんだ。こわっ、なんて。うそうそ、ありがとうと思いながらそれを拾う。きれいな字だなあ…。

そうだ、勝手に持っていったら怒られるよな、付箋付箋…。














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『はっ…!!』




寝てた…。仕事片づけないと、ってその前に小森さんのスマホを何とかしないと、佐野さんに連絡すればいいかな。なんて思いながら先ほどまでスマホがあったはずの場所に手を伸ばせば




『ない!!!!ヤバい!!どうしよう…』



ヤバいヤバい、これはもうクビ案件じゃ…いくら温厚な小森さんでもこれは許されないよ…。







ん?



机の上には買った覚えのない缶コーヒーがお一つ置かれていて、何か文字の書かれた付箋が張ってある。

あっ、これ私の付箋…








"いつもお疲れ様、スマホ受け取りましたありがとうございます。
机はもうちょっと片付け方が良いと思います笑"








あ…良かった。小森さんの字だしきっと本人だろう。てか汚い机見たのか…なんか恥ずかしい。
まだ何か書いてある、何だろう。

















"あと、来年は本命が良いです。  小森"



















(隼スマホ見つかった?)
(うん、山田さんの机の上にあった)
(良かった、てかなんでそんなに顔赤くしてるの)
(別になんもねーし!!)
(絶対何かあったじゃん…)





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