携帯を取り出して電話をかける。
あまり活躍することのなかったコレも、名字が関わるようになってからよく連携を繋いでくれている。
基本的に黄瀬が近くにいれば、奴の蜘蛛の糸を使って包囲網は完成する

或いは青峰、赤司が居れば離れていても鼻が効く。
桃井と紫原も近距離ならば気配は掴めるが、俺と黒子にはその力がない


「黒子か?」
『めずらしいですね、緑間君から電話だなんて』


秀徳の最寄り駅、喧騒の中で電話をかける。
名字は少し心許ない表情をした。
別に、電話をして黒子と会うくらい、どうということないというのに。
気にするなと軽く頭を撫でる


「お前、まだ学校か?」
『はい。今から帰るところですが』
「ならば誠凛付近で待ち合わせするぞ。会わせたいヤツがいるのだよ」
『はあ…』


思い当たる人物がいないのか黒子は気の無い返事をした。
こういう些細な部分の適当さが青峰とよく似ていると思う。
こんなこと、両者には今はもう言えないが。
場所は黒子に合わせようと訪ねればアイツの好きなファーストフード店を指定される。
軽く挨拶をし、耳から携帯を離す


「誠凛近くの店で待ち合わせるのだよ。家の方は大丈夫か?」
「ん、メールしておくから平気。緑間くんこそ、疲れてるのにごめんね」


これくらい何てことない。
妖怪ということを隠して、理解されずに生きることを覚悟していた俺に、無条件に笑いかけてくれた。
必要だと頼ってくれるだけで、充分なんだ



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