白雪さんは可愛い。綺麗な顔立ちだけれど、少し子供っぽく気持ちがすぐ顔に出るところとか、人見知りなせいで知らない人の前にくると僕の後ろに隠れるようにきょときょと見上げるところとか。

詰まるところ、僕はどうにも彼女のすべてが愛おしいらしい。


「ということで、キスがしたいのですがいいですか」
「へッ!?」


火神君という思わぬ邪魔が入った勉強会を終え、白雪さんを自宅まで送り届ける帰り道。
ふと、僕は中学三年生の、あの時を思い出した。

白雪さんの記憶がなくなって、僕も学校に居られなくなった時。
どうしようもなく彼女が、彼女の瞳や声が恋しくて一目見たくて赴いた時

偶然にも彼女はその時に僕の方を振り向いた。
隠れていたため、目が合うことはなかったがそれが僕の見た、最後の中学生姿の彼女だった


もうあんな思いはしたくない
今は手の届くところにいる。助けられる。守れる、彼女も僕を守ってくれる。

こんな奇跡があるのだろうかと、不意に僕の涙腺はゆるむ


「なな、なんで!?どうしたの急、急に!」
「特に理由は。今しておかないと後悔してしまいそうだったので」
「ここ道端だよ!?」
「暗いですし、今は誰もいませんよ」


ゆるんだ涙腺を隠すように、愛おしさを確かめるように彼女に告げてみれば、予想通りの反応が返ってくる。
そっと柔らかそうな腰に腕を回して存在を確かめた

──ああ、彼女はもうここに、僕の隣にいる


「……もう、本当にテツヤくんは、なんていうか…」
「なんですか?」
「予想外の内面ばかり、見せてくれるね」
「それはそうです。貴方と過ごした時間はまだまだ、これからに比べたら少ないんですよ」
「今回、だけだからね」
「そんなこと言わずに」


何回でもさせてください

そう言った僕の言葉への答えを飲み込むように、彼女の赤く熱を持ったくちびるに、ゆっくり口付けた。


returm




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