「あ。ここ代入する数字間違ってる」
「……あれ、計算ミス、でしょうか」
「ん、途中までは合ってるからどっかで計算ミスしたんだね。この辺りからやり直してみて」
「ありがとうございます」
どういたしまして、と黒子に微笑む彼女の笑みは柔らかいしそれを見つめる黒子の目も、いつにないくらい表情を見せている
だが、なんだ?
この違和感は…いや、間違いなくこの仲の良さは付き合ってる奴らの雰囲気なんだが……
「テツヤくん、少し髪の毛伸びた?バスケするとき邪魔じゃなぁい?」
「んー…そうかもしれません。最近練習してたと思ったらすぐテスト期間で。気にしてる暇がなかったんです。そういう白雪さんも髪伸びましたよね」
「さつきちゃんがお揃いにしようっていうから。…あ、横の髪、勉強するとき邪魔でしょ。私のピン貸してあげるね」
………女子か。
こいつら二人とも女なのか?確かに俺はいつも黒子とバスケをしていて、相方として拳を合わせるときなどにちっせぇ手でよくいろんなものを背負えるなと思っていた。
だが、それはそれであって、あくまで男のもの。スポーツをする人間の中では小柄な方だなと思っていたくらいだ
しかし、今目の前にいる黒子と白雪の絡みを見ていると二人が女のように見える。
決して白雪がガタイがいいとかそういうわけではない、むしろ華奢な方だと思う
けれどなんだか、女同士の、見てはいけないものを見ているような気持ちに…
「あは、テツヤくんうまくピン留められてないよ。ほら髪の毛落ちてきてる」
「……僕は女性じゃないからこういうことは上手くできません」
「貸して?」
白雪が細くて白い指先を黒子の薄い水色の髪に触れて、少しかき上げてピンで留めてやる。
彼女は顔を少し傾けて黒子を覗き込む形になったから、元々近い二人の距離がさらに縮まって、彼女の柔らかそうな髪が一房。
黒子の肩にはらりと落ちて──
「火神君?どうしました?食べる手が止まってますよ」
「ッあ、ああ、いやなんでもない!」
「…本当ですか?まさか白雪さんをいやらしい目で見て…」
「テツヤくん、それはないから」
「べッ!別にお前ら二人のことなんて…!!」
「え?」
白雪と黒子の二人がきょとんとした顔で見てくる。
何も言わずに赤面してる俺を見ながら自然と白雪は黒子のバニラシェイクに、黒子は白雪の頼んだ飲み物に手を伸ばした
か…関節キスだろそれ…!?
自覚はないのかお互いの飲み物に口をつけながら美味しいね、と微笑み合う二人に、何故か動悸が止まらない
いやいやいや、女同士みたいだけど、きっちり黒子は男だって!
なんでこんなことにドキドキすんだよ、俺!
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