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「ふざけないでください!!」



雷門さんのビリビリくる声がした方に歩いていけば 皆がバスの周りに立っていた、汗をかいて小刻みに震える冬海先生はハンドルを握り締めて俯いてる。



「ここに手紙があります、これから起きようとしたであろう恐ろしい犯罪を告発する内容です

...冬海先生バスを動かせないのは貴方自身がバスに細工をしたからではありませんか?この手紙にあるように」



ガックンと首を落として項垂れる冬海先生を見ながら私は守君の横に向かった。「本当かよ...」と目を大きく見開いてバスの中にいる冬海先生を見つめる守君、もしあれに乗ってたら事故ってたってこと??サイテー。



「答えてください 冬海先生...!」

「くっ、ははは...はは、そうですよ?私がブレーキオイルを抜きました」

「何のために!!」

「あなた方をフットボールフロンティアの決勝戦に参加させないためです」


「なんだって...!?」

「あなた方が決勝戦に進むと困る人がいるんです、その人の為に私はやった」



チンプンカンプンな事を言う冬海先生、いつも陰気でジメッとした人だなぁって思ってたけど 性格までこんなんなんじゃ最低過ぎる そんなことを思っていたら「帝国の学園長か!」と...豪炎寺君の尖った声が聞こえた。



「帝国の為なら...生徒がどうなってもいいと思ってるのか!」

「君達は知らないんだ あの方が...どんなに恐ろしいか、」

「ああ 知りたくもない」「貴方のような教師は学校を去りなさい これは理事長の言葉と思ってもらって結構です」



なんだか大変な事になってきた、これじゃ私の手首の傷は乾いて守君に心配されるイベントが起こんないじゃない。

ぷっくりと頬を膨らませて「守君...大丈夫?」ととりあえず声を掛けてみれば、冬海先生が意地悪な声色でこんな事を言い出した。



「しかし、この雷門中に入り込んだ帝国のスパイが私だけだと思わない事だ」



ねえ、土門君?


一斉に土門君の方に視線が注がれる、みんなの非難の声に「馬鹿なことを言うな!」と大きい声を出す守君。ほんっと お人好しなんだからー、さっさと 土門君も追い出して練習して帰ればいいのに。



「悪ぃ!!」



走り去った土門君の背中に向けて溜息を吐けば 真剣な表情の守君が雷門さんが手に持つ手紙をのぞき込む。










やっぱり俺は間違ってなかった、あんなにサッカーが好きなやつに 悪い奴はいない!河川敷で練習してたKFCと一緒にミニゲームをしてる最中 土門が蹴る熱い想いのこもったシュートを受け止めれば、ジンジンと手のひらと胸が熱くなった。

楽しそうに笑う土門に 俺まで楽しくなってしまってついつい時間を忘れてしまい、随分と暗くなった空に やべっ〇の事忘れてた...!! 河川敷にあるベンチに視線を向ければムスッとした〇の姿が。



「...ご、ごめん 遅くなっちゃって」

「そんなにサッカーって楽しいの?」

「サッカーが好きだから いつも時間を忘れちゃうんだ!」

「へぇ 私といるよりも楽しいんだー」



こういうのドラマで観たことある...

そろーっと後ろを見れば、土門と木野が気まずそうに笑ってそそくさと帰っていく。明日会った時謝んなきゃな なんて考えていたら、俺の泥だらけのユニフォームを掴む〇。



「聞いてる?」

「ごめん、ごめん...いや 〇といる時とサッカーしてる時の楽しいはまた別なんだって、」

「聞き飽きた」

「どうしたら許してくれるんだよー」



お手上げ状態の俺は 〇の横に座って 顔色をうかがう、夕焼けに染まる〇はいつもなにかに怒ってて可哀想になってくる。



「なあ 俺に何が出来るんだ?」

「もっと私のことも大事にしてよ」

「うーん 大事にしてるつもりなんだけど、」

「足りないから言ってるの!」

「ご、ごめん」



肩を落とせば 急に練習の疲れが全身に回る、早く家帰って風呂入って母ちゃんの飯食いたいなぁ。

...って、〇の機嫌とるのが先だ!!



「お、俺は お前の事大事にしてるんだぜ?」

「本当に?」

「おう」

「じゃあ なんで好きって言ってくれないの?」

「...好きっていえば 〇は安心するのか?」

「うん 言ってくれないから不安になる」



下唇を噛んで〇は俺をじっと見つめる、風丸とか豪炎寺はいつも女の子にこんな風に言われてんのかな...アイツらは上手くかわせるんだろうなぁ。



「言ってくれるの言ってくれないの?」

「...い、言うぞ」



すきだ 繋げて言えなかったけど、一文字ずつちょっと大きい声で〇に言えば「...もっとちゃんと言ってほしいけど、それで許してあげる」なんて いつもみたいに可愛く笑った。

その顔に安心したと同時に、胸の奥が痛くなる。



「もっと 上手になってよね」

「.....好きって言うのも特訓しないと!」



また 特訓ー!?

眉間に皺を寄せた〇に「なんだよー」と言えば「もう、守君って本当に変ー」と 笑われてしまった。




20180704