ハローハローバッド

「あの子 可愛いよね」

「.........珍しいですね、野坂さん」



雷門中のマネージャーの1人、いつもにこにこと笑顔でサッカーを見つめる彼女が不思議で仕方なかった。だけど 1週間前、俺が落とした携帯を走って届けてくれた彼女の荒い息や 火照った頬に 困ったように笑った顔に恋に落ちたみたいだ。西陰は俺のことを不思議そうに見ている。



「俺が彼女に告白するって言ったらどうする?」

「そうですね、とりあえず 遊びなら彼女が可哀想なんでやめた方がいいかと」

「遊びじゃないよ 本気で」


「今日は雪でも降りますね」



俺をからかうように大袈裟に空を見上げる西陰に「今日は5/9だから降るわけないよ」と返し、グラウンドにある雷門側のベンチに目線を戻す。今日も彼女は世界中に笑顔を振りまくように、笑っていた。

あの日見せた君の赤い頬や、走った後の苦しそうな表情は俺だけしか知らないんだろうね。



「試合終わったら彼女を捕まえに行くよ」

「本気なんですか?」

「好きになっちゃったんだよね」



何があっても表情の変わらない西陰が、ぴくりと眉を動かしたのを見て 俺だって人間だから恋くらいするよと言いたかった。











「彼女、借りるよ」



この間私が携帯を届けた彼が目の前に現れたと思えば私の腕を掴まれて どこかに連れていこうとする、どよどよと焦る声のみんなに「30分ほど借りるだけだ」ともう1人の長身の男の子がみんなの前に立ちはだかる。



「オイ!俺たちのマネージャーに何の用なんだよ!」

「大丈夫 すぐ返すよ」

「...わ、私は大丈夫だから...!みんな心配しないで!」



ほら 来て。とヒヤッとする程感情のない声で私の腕を引く彼、白肌に 黒いシャツのせいか少し大人びて見える。



「どこに行くんですか...?」

「二人きりになれる所」

「...みんなの前じゃダメだったんですか、?」



無言で腕を引かれると どうやら彼の目的地に着いたようだ、ドアを開けて入ると...そこは非常階段だった。こんなところに連れてきて何をするつもりなのだろうか...急に怖くなって 震える私を見ず彼は口を開いた。



「君が好きなんだけど」



この間会ったばかりの男の子にこんな事を言われると思わなかった私は目をぱちくりさせて、彼を穴が開くほど見つめてしまった。

階段に腰掛けて 「ここ座りなよ」 と自分の横のスペースを指差す、恐る恐る横に座れば 彼が私の膝の上に手を乗せた。



「好きなんだ」

「え、どうして...?この間 1分話したくらいなのに」

「その前から君のこと 見てたんだ」

「...いや、その...嬉しいんだけど 私は貴方の名前も知らないし」



ずっとずっと変わらない表情に調子が狂う、初めて会った時も 綺麗な顔だなー くらいにしか考えてなかったし...。急に告白されても 驚くだけだ、いや こんな綺麗な男の子に「好き」とか言われたら正直恥ずかしいし嬉しいしで 自分でも今どんな気持ちなのか分からない...!

うーんと何かを考えた様子の彼はしばらくして綺麗な唇を動かした。



「俺は 野坂悠馬」

「...野坂君」

「悠馬でいいよ」

「悠馬...君、あの 私は〇◎」


「◎...可愛い名前」



膝の上に置かれた手が離れて 私の髪に触れた、ドキドキとどうしようもないくらい心臓が暴れだして 息が上手くできない。こんな事されたの初めてで、私は 恥ずかしくて俯いた。



「君の事が好きだから、付き合ってほしいんだ」

「悠馬君 それは嬉しいんだけど...私貴方の事を全然知らないし...」

「知っていけばいいじゃないか」

「でも...っ」



唇と唇が触れ合いそうな距離に悠馬君の顔が...経験した事ないけど キスされる!とすぐに分かって 私は目をぎゅっと瞑った。

だけど、唇と唇はいつまで経ってもくっつくことはなく 代わりに「そんなに緊張しなくても」と楽しそうに笑う彼の姿が。

そんな顔できるなんて...どきんと胸とお腹と腰とが跳ねそうになるくらいときめいてしまった。



「付き合うって言うまで、彼らの元には帰さないよ」

「そんな...!」



強引すぎる彼に翻弄されている私、この前会ったばかりの彼が猛スピードで私の心を食べていく。こんな風に男の子に追いかけられる日が来るなんて夢にも思わなかった...。

悠馬君は私の頬を優しく撫でて「どうするの? ◎」と優しく細められた瞳で私を見る。

そんな彼の瞳に負けてしまい、3度ほど頷けば 満足そうに口角を上げ「君の色んな顔を俺だけに見せて」と 頬にキスされた。どんな顔でみんなの元に帰ればいいんだろう...。





20180509〔告白の日〕

匿名様、初めましてriricoです。この度はリクエストありがとうございました!

希望シチュお任せとの事だったので、今回はちょっとよく喋る野坂君に「付き合うって言うまで、彼らの元には帰さないよ」なんて言わせてみました。自分勝手に話を進めて告白しちゃう野坂君に翻弄されたいです、、、。

お時間ある時感想聞かせて頂けると嬉しいです、今後も企画沢山用意してるので また気になるものがあればご遠慮なくご参加ください!改めましてありがとうございました!

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