チェリーパイ

「来ちゃった...」



帝国学園も凄かったけど、星章学園も凄いなぁ...下校時間帯なので沢山の生徒が校門を抜けてく。鬼道君の姿を探したがやっぱりサッカー部かな、中に入っていいのか分からず 校門前でふらふらとしていた。



「何か用か?」

「...!?いえ、あの 人を探してて...」



ネイビーとグレーで揃えたお洒落な男性が...私の背後から現れた、驚いたと同時にばっくりとシャツが開いていて...その間から見える鍛えられた胸板をガン見してしまった。ゆらっと揺れた首にかけられたネックレスにはターコイズが光り、近寄ってきたその人は「誰を探している」と私に問いかける。



「あの、鬼道有人君を」

「着いてこい」



私の横を通り過ぎたあのダンディーな方はここの先生?みたいで女生徒達に「さよなら 久遠先生ー!」と黄色い声を浴びせられていた。久遠先生と呼ばれた彼の後ろを着いていけば ボールを蹴る音が聞こえてきた。

なんだか 懐かしいなぁ、この音。



「鬼道」



久遠先生の高い背の向こうに鬼道君がいるのかな?ひょっこりと横から顔を出せば ネイビーの少しテロっとしたシャツと こちらを見てぽかんと口を開けた鬼道君の姿が。



「鬼道君!」「◎!?」



重なった声に私は嬉しくて笑うと、周りの生徒達がなんだなんだと久遠先生の後ろにいる私を穴が開くほど見てくる。急に恥ずかしくなって 久遠先生の後ろに身を隠すと「何を隠れてるんだ」と低くてかっこいい声が頭上から耳めがけて落ちてきた。



「なんか、恥ずかしくて...」

「そこのベンチに座って待っとくといい、もうすぐ練習が終わる」

「ありがとうございます...!」



背中から出てベンチに向かえばサクサクッと矢のように視線が飛んできた、歩くのがぎこちなくなってしまうから...あんまり見ないでよ...ベンチに座れば 久遠先生も私の横に腰をかけた。あ、そう言えば 春奈ちゃんがいないな...



「あの、久遠先生?音無春奈ちゃんは?」

「音無は他校の偵察に行っている」

「そうですか...」

「鬼道と付き合ってるのか?」



親しそうだが、と続けた久遠先生はじっとグラウンドで練習をしている部員達を見つめている。



「付き合ってはないです...」

「好きなんだな」

「な!なんで!」



ボールを追いかけていた目は私を見てる、 「今だ、シュートだ!」と 鬼道君の声が聞こえたと同時に こくんと頷いた。久遠先生はまたグラウンドに目線を戻して 、満足げに口角を上げた。









練習が終わりシャワーを済ませて◎の待つベンチに向かうと久遠監督と話をしている◎の姿が、顔を緩ませて楽しそうに話をしてるその姿にズキンと胸が痛んだ。



「◎」

「あ、鬼道君 お疲れ様ー!」

「...行こう、袴田が待ってる 久遠監督お疲れ様でした」

「ああ」



手を握れば嬉しそうに繋ぎ返す◎は俺に手を引かれて後ろを着いてくる、車に乗りこみ 久しぶりだとか他愛のない話をして 家に着いた。早く二人きりになりたいあまり 父さんには軽く挨拶をして◎を押し込むようにして自室に入れた。



「◎、今日はなんで俺に会いに?」

「あのね この家で洗ってもらった服が全部私の家の柔軟剤の匂いになってしまって、鬼道君の香りを忘れちゃう気がして 不安で会いに来たんだ」



それだけなんだけどね...とごにょごにょ語尾を小さくしてソファーに腰掛ける◎。告白にも聞こえるその言葉に 練習で疲れた足ががくんと崩れそうになる。「俺も、会いたかった」と自然と喉から出た言葉に、◎は恥ずかしそうに笑った。



「あっ、そういえば 久遠先生いい人だね」

「久遠監督か?」

「うん 私の学校にもあんなカッコイイ先生いたらいいのにって、羨ましい!」

「......カッコイイ?」



確かに久遠監督は女生徒からの人気は高い、◎の口からそんな言葉が出るとは思わず持っていた鞄を落とした。◎は久遠監督と話した事を俺に聞かそうとしているが耳に入ってこない 俺は足早にベッドの横にある小さな棚から 薄いピンクのリボンが飾りつけられた白い箱を手に取った。








鬼道君はすごい勢いでベッドルームに向かい、そして 足早にこちらに戻ってきた。手には小さな箱が...。



「◎ 中学を卒業してからコレを渡すつもりだったのだが、もう我慢出来ない 受け取ってくれ」

「え?私に...?」



白い箱を私の手にのせて横に座る鬼道君は私の目をみて「好きだ」と言った...私が告白するつもりだったのに...!



「ネックレスだ」

「返事 聞かせてくれないか」

「...私も、好きだよ 1ヶ月間の事毎日思い出しちゃって 会えないのが辛かった」

「嬉しいよ◎」



ネックレスを指に絡めて鬼道君は器用に私の首に付けてくれた、星の形にキラキラとダイヤが5つはめられてるチャームを指で挟めば 「似合ってる」 なんて照れ臭そうに笑った鬼道君。



「お前を幸せにするのは俺だけでいい」



ぼんっと恥ずかしさに熱くなった体を冷ます時間も与えず...「さあ、父さんに報告だ」と私を引っ張る彼に男らしさを感じてしまう私は よっぽど好きなんだなぁと実感して 困ったように笑う声が口から漏れた。





20180509〔告白の日〕
⇒イナエブ後の話、主人公が鬼道さんの家を去った後星章にて強化委員として派遣された鬼道さんと再会して告白

ダニ様、初めましてriricoです。
この度はリクエストありがとうございました!
イナエブ後の話どっかで書きたいと思っていたので、リクエスト来た時飛び跳ねました!

星章の久遠監督にちょっぴり嫉妬しちゃって、告白を早めてしまう鬼道有人君最高じゃない?と思って勢いで書いてしまったのですが...どうでしょうか。「俺も会いたかった」と言わせたかったので 最高のシチュに感謝です!

またお時間ある時感想聞かせて頂けると嬉しいです。そして、今後も沢山企画していきますので 気になるものがあればご遠慮なくまた参加お願いします!それでは、改めまして ありがとうございました!

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