ブルーラグーン
南国を思わせるような綺麗なブルーの液体、オレンジとレモンの輪切りがフルート型のシャンパングラスで泳いでいる。氷の上にちょこんと座らされた さくらんぼを少しどかして 綺麗なブルーを喉に流し込んだ。爽やかな甘さに 気持ちよく酔えそうだ。
「有人なんかご機嫌じゃん」
「まあな」
「なんかいい事あったの?」
「いや 特にはない」
なんだそりゃ!と言ってピスタチオを頬張る◎。ネットで見つけてから来たがっていた このバーに連れてきたというのにウーロン茶を飲み アルコールには手をつけない。落ち着かない様子で周りをきょろきょろ見回している。
「どうした?」
「なんでもないよ」
「そうか…?」
うんと短く一言、そしてウーロン茶をがぶ飲みする...何かあるのは一目瞭然なんだがな。
「◎、どうした」
「だからなんもな…っい」
お腹を押さえて体を丸くする◎、きっと生理だろう。無理はするなと毎月毎月言い続けているというのに...。
「なぜ無理をしてまで来たんだ」
「だって、会いたかったんだもん...!」
「ほら帰るぞ」
「嫌だ、まだ帰りたくない」
「身体が冷えるともっと痛くなるだろ、また倒れて救急車を呼ばれたくないなら ほら帰るぞ」
「うっ…わかった」
渋々了承させて自宅へと連れて帰る。少しデカいが俺の服を着せてベッドに寝かした。
「大丈夫か?」
「ごめんね...久し振りのデートだったのに」
「泣きそうな顔で笑うな、俺があまり時間を作れないから無理をさせてしまったんだな...すまない◎」
頬を軽く撫でれば、くすぐったそうに目を細める◎。
「薬を買ってくる」
「え!?有人が??」
「…当たり前だろう、他に誰が行くんだ」
「ふふっ」
「何がおかしい」
「えー有人が生理痛の薬買ってるとこ想像したら面白かったから、めっちゃ面白いよそれ...不動君に送ろ...」
「俺はお前の為なら女物の店で下着だって買える、後 不動には言うな」
俺が冗談で言うと本気にしたのか何とも言えない顔をされた、本気にするんじゃない。
▽
どの薬にすればいいか分からないからとりあえず、生理痛専用薬と栄養ドリンクを買って帰ると ベッドで丸くなって寝ていた。
「◎…」
「ん...有人」
寝ぼけた様子で俺の腕にぎゅっと抱き着く◎、頭を撫でれば甘えてくるまるで子犬のようだ。
「有人優しいから好き、愛してる」
「あぁ 俺も愛している」
次は◎からのキス、口の中は少しだけウーロン茶の味がした。
「飲めるか?」
「うん」
薬を受け取り栄養ドリンクで流し込む◎、薬を飲んでいる◎にバレないように鞄の中から小さな箱を取り出した。
「お前を幸せにできるのは俺だけだ」
「いきなりどうしたの……?いや、私もそう思うけども」
「そろそろ…どうだ?」
箱をあければダイアモンドのついた指輪がキラリと光った、何度か瞬きをした◎の表情が段々と驚きから喜びに変わっていった。
「結婚してあげる...結婚する!したい!...っぐす 不動君に連絡しなきゃ...」
「鼻水でてるぞ、後 不動はもう知ってる」
「有人好き、愛してる...!」
ベッドの上で泣きながら喜んでいる◎、バーで飲んだ ブルーラグーンの様な爽やかで甘い後味の彼女を強く抱き締めてキスをした。
そして、左手の薬指にそっとはめた指輪。彼女と俺の未来のように キラキラと輝くダイアモンド。
「絶対に幸せにする」
「うん...!」
20131222
⇒修正 20180418