手作り弁当

「お前はいつも コンビニで買ってきたものばかりだから、今日から俺が作ってくる」



ドーンと机の上に置かれたお弁当にはカラフルなお野菜達が楽しそうに並べられている、手にもっていた菓子パンは水神矢君に取り上げられ 代わりに可愛い箸を持たされた。



「...急ですね」

「食べてみてくれ」



クラスメイトの視線が痛い、彼氏である水神矢先輩は 世話焼きのいい人なんだけど恥ずかしげも無くこんなことをしてくる。

おかずをもう一度見れば、夏野菜達が早く食べてーと光ってて...美味しそうじゃないですか。



「それじゃ、頂きます」

「ああ」



キラキラと輝く瞳にドキッとしながら私は水神矢先輩が作ってくれたお弁当に箸を運ぶ、ゴーヤは苦手だけど こんな瞳で見られたら口に運ぶしかない。



「...ん、?」

「どうだ??」


「あんまり苦くないですね」



シャキシャキとほろ苦さが広がるが、嫌な苦さじゃない。むしろ美味しい 水神矢先輩はそんな私の言葉に鼻を高くして ワタがどうとか語り始めたが、久しぶりにちゃんとしたご飯を口にしたら 食欲が爆発してしまった。

水神矢先輩のゴーヤ語りをBGMにして、だし巻きや ナスとトマトを口に運んでいく。



「先輩って、サッカーも上手いのに お料理も上手ですね」

「...そうだろうか」

「嬉しいって顔に書いてますよ」


「お前の為に本まで買って練習したから、凄く嬉しい」



頬ずえをついて優しい目で私を見る水神矢先輩にどうしようもなく胸がきゅんと熱くなった。



「ここ教室だけど 先輩にキスしたくなっちゃいました」

「馬鹿言うんじゃない、」

「します?」


「オイ ヤるなら外でやれ」



後ろの席の灰崎君は私の椅子を軽くぽこんと蹴る、振り向けば「イチャイチャしてんじゃねー気持ち悪ぃな」と心底嫌そうな顔をしていた。



「灰崎君恋人いないからって僻まないでよ」

「はァ?そんなんじゃねぇよ」


「おい、二人とも 喧嘩はやめろ...」




20180623