炎天夏のシャワールーム


 ギラギラと太陽の熱が私達を焼いていく。頭にタオルをのせて、私はベンチに座り彼の練習を見ていた。彼は一人だというのに『スタミナをつけるためだ』なんて言って一生懸命走り回っていて、そんな彼を見ていると自然と口元が緩んでしまう。そう言えば「見ているのはいいが……。ちゃんと 水分補給をしろ。座っていても熱中症になるからな」なんて言われたっけ? お茶を取り出すのが面倒くさくて、というか、彼から目を離したくなくて。私は、忠告を無視し続けた。
 じんわりとかきだす汗。
 気持ち悪い。そう思って、渋々タオルで拭きながらも彼から視線は外さない。

「っ……ぁ、え?」

 すごいグラグラする……。ああ、これやばいやつだ。急いでお茶を飲もうとするも、指が上手く動かなくて……。ガクン
ッと、エナメル素材の真っ黒いバッグに倒れ込んでしまった。ゴム臭さと、シーブリーズと、自分の汗の匂い。なんでこんなに冷静なんだろう……。彼にあれだけ言われたのに。情けないと思うと同時に、彼が私の名前を呼ぶ声に目を必死に開けた。
 なんとか返事しないとって思って、バッグに突っ伏しながら小さく呻いた。夏って、これだから嫌い。私の肩を掴む有人の手を握り返そうとしても、ふわふわする頭と手じゃダメだった。目線を向ければ、ゴーグル越しにも分かるくらい目が怒っている。

「あれ程水分補給しろと言ったのに……。何をしていたんだ、俺の声は聞こえるか?」
「ゆうとのことね、めでおいかけてたの」

 あれ、思った以上に呂律が回らない。

「お前はなんでそんなに馬鹿なんだ。待ってろ」

 呆れ返った様子の彼に『馬鹿じゃないもん』と言いたかった、けど。気が付いたら私は汗でムンムン熱い有人の腕の中にいた……。あれ? お姫様抱っこされてる? 気が付いても、もう遅くて。目を閉じると、すぐに真っ白な世界が私を包んだ。










まったくコイツは手が掛かる、シャワールームに飛び込み荷物を適当な場所に投げる。◎をシャワー室の床に寝かせて服を脱がしていけば「えー やだ、なんでぬがしてるの」なんて舌っ足らずな喋り方で俺の腕を掴む。

ブラウスのボタンを外して ブラのホックを外すために背中に腕を回せば「ぅ、っ」と少し苦しそうな声を漏らす◎。



「シャワーかけるぞ」

「え やだ、ぬれる」

「俺の着替えを貸してやるから我慢しろ」



捻れば出てくる冷たいシャワーが俺と◎にふりそそぐ、しまった 俺もせめて上だけでも脱いでいればよかったな。氷なんかを取りに行くのには時間がかかるので少々乱暴だが、冷水を浴びる。

冷たくて心地よいのか「んー」と 目を細める◎、お気に入りの下着だと言っていたブラジャーが濡れて黒くなっていく。



「気持ち悪くはないか?」

「ちょっとマシになってきた、水飲みたい」


「ちょっと待ってろ」



水を含んだユニフォームとマントがじっとりと 濡れて肌に絡みつく、重たさを感じながら すぐ近くに投げた鞄に手を伸ばす。

中から取り出した◎のお茶を手にシャワーボックスに戻ると ふわふわとした意識の中必死に俺を捉えようとする彼女の瞳に 胸が締め付けられた、俺を必要としている彼女が堪らなく可愛くて じっとりと濡れた髪を撫でるようにして優しく掴んだ。



「飲めるか?」

「むり、」

「仕方ないな 少しだけ口を開け」



きっと一人で飲めるクセに俺に怒られたくないから嘘を吐く、それに気付かないフリして俺は自分の口に含んだ生ぬるいお茶を彼女の口に移した。

俺の唾液と混じり少しだけねっとりとしたそれをごくんと少々大きな音を立てて飲み込むと「もっと」なんて 甘い声を出す、熱中症でフワフワとしているくせに何故こいつはこんな時でもそんな声を出せるんだろうか。

先程ははだけた服や濡れた髪に何も感じなかったというのに、◎のせいで ぞわっと鳥肌が立つほどに興奮してしまっている自分がいる。



「...よく飲めるように 舌を出してみろ」

「こ、う?」



申し訳程度にひょこっと出てきた舌に自分の舌を重ねるようにしてお茶を流す、飲めているのか?と言いたくなるが もう1度同じようにしてみた。

口内がお茶の味で満たされると同時に、うずうずと広がっていく欲望。



「...熱中症になったそんな体で俺を誘うとは、そんなに溜まってたか?」

「お酒を飲むとこんな風になるんだろうなぁみたいに体が軽くて、気持ちいいから つい」



軽い熱中症だろうが 甘く見ると痛い目を見る、シャワーを止めて彼女を壁にもたれさせタオルで拭いてやると 下着がズレて胸が半分露になる。



「有人のえっち」

「俺のせいじゃないだろう」

「あー 熱中症じゃなかったら、よその学校であんなことやこんなこと出来たのに」

「だから言っただろう?水分補給はしっかりとしろと」



タオルドライが終わっていないというのに まだ目がとろんと溶けている彼女は俺の唇を奪って「熱中症のせいなのか、有人のせいなのか 分かんないくらい体熱い」なんて あまりにも興奮する言葉をさらりと吐いた。



「病院で見てもらって、何事も無ければ 太陽に邪魔をされない場所でお前のして欲しいことすべて叶えてやろう」



親指で優しく唇を撫でれば彼女は満足そうに笑った。



20180707〔七夕〕
練習に付き合っていたら夢主が軽い熱中症になり、鬼道に叱られる

あくあ様 初めまして、riricoです!
この度はリクエスト頂きありがとうございます、遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした...!

年齢制限などお任せとのことでしたので、R15手前の手前くらいにしてみました~含ませエンド。熱中症のお話なんて書いたことが無かったのですが鬼道さんは正しい処置が出来るに決まっているので 調べまくりました(笑)

そしてコメントまで 嬉しいお言葉の数々にドキドキしてしまいました、あくあ様もサイト運営なさってたのですか...!もし復活した暁には遊びに行きたいので是非 教えてくださいね。

次回のリクエスト募集は12月ですが、またどうぞ 宜しくお願い致します。改めまして ありがとうございました。平成最後の夏を楽しみましょー!