「野坂先輩!」

「...また君かい」



いつもいつも飽きもせずに俺の目の前に現れる彼女は毎日毎日違うヘアスタイルとメイクで楽しそうに俺に笑いかける、まるで どんな私が好きかと聞いてるみたいだ。



「野坂先輩 今日は練習の後にお時間ありますか?」

「無理だよ」

「でも!」

「おい、執拗い奴だ 野坂さんは忙しいんだ」



西蔭の太い腕に敵うわけがない彼女はどんと押されて壁にもたれかかって尻もちを着いた、可哀想だなとは思わない。けれど そんな事をされても健気に彼女は「じゃあまた明日!」と笑いかける。



「野坂さん あの女いつもいつも執拗いですね」

「面白いよね彼女」

「...野坂さん、?」



驚いた様子の西蔭は眉間に皺を寄せてはぁ、と溜息を吐いた。











誰も居ない場所で僕は薬を飲み込んだ、水なんて手元にないから喉元をつっかえるような飲み心地が気持ち悪くてげほげほと首元を押さえていたら聞き覚えのある声が...。



「野坂先輩!」

「また君か」

「先輩どこか痛いんですか...??」

「君には関係ないさ」

「関係あります!」



彼女は真剣な顔で俺の腕を掴んで 綺麗なピンク色の唇を必死に動かす。



「私 野坂先輩の為なら野坂先輩が好きなタイプの女になります、髪だって染めるしメイクだって変える 服装だって好みにします...だから、」

「黙って」

「...野坂先輩」

「僕には色々やる事があるから君と一緒にいる事は無理なんだよ、だけど 君の気持ちは素敵だ」

「なんですかそれ...フラれたんですかわたし」

「そうだね だけど君にはずっと恋をしていて欲しいよ」



なにそれ ずるい。

彼女はそう言って泣きそうなくせに、おかしそうに笑った。





20190509〔黒板の日〕
野坂の後輩夢主、切ないけど甘いお話

美奈様、リクエストありがとうございました!

野坂くんのお話は切ないお話ばかり書いてる気がしますが、切なさの裏側では彼の大きな夢があるから 女の子達に厳しくなるのも納得ですよね...。

これから暑くなっていきますので夏バテに気をつけて、令和最初の楽しい夏を過ごしましょうー!

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