強面な彼は可愛い彼

彼は寺門大貴君、チワワみたいじゃないし佐久間君みたいに綺麗な顔でもないんだけど とっても可愛い。この前授業中落とした ボールペン、拾う時に人差し指のほんの先っぽが触れただけなのに 「すっ、すまねぇ...」 って真っ赤になって離れていったの。ボールペンを拾ってくれようとした時も可愛かったけど、違うのそうじゃない...あの時の横顔が忘れられない。まるで ピッドブルみたいに凶暴そうな犬ちゃんのようなみてくれなのに...まるで乙女のように ずっとずっと恥ずかしいって感じで俯いてた。

私は今まで一人としか付き合ったことがない 告白されたからノリで返事をしたのだ 一ヶ月行くか行かないかみたいな淡いものだったのだけれども。キスもしたし、胸までは触られた。特別何も感じなかったけど...、でも 隣の席の寺門君をその日まで意識した事無かったのに その表情を見てから私は寺門君の虜になってしまったのだ。毎日「おはよう」というと「おはよう」と返してくれる、「また明日!」というと「あぁ...また...」と返してくれる。それだけで胸は跳ねて どこかに飛んでいきそうな気持ちになるのだ。

あぁ、寺門君のあの顔がもう一度見たい。



「なんか、暑いなぁ」



上着を脱いで 白いブラウス越しにブラの色が分かるように、ぐいっと胸を前に突き出した。真っ黒なブラが私の胸の形を彼に知らせている。

私の声に気が付いた寺門君が私の方を見て慌てて目を逸らした。私は嬉しくて 「寺門君 暑くないの?」 と聞くと 「...暑いが だっ、大丈夫だ」 だってぇ。



「どうして向こう向いてるの? ねえこっち見て」


「あっ、ああ」



私の方を見た 寺門君。
どうかな、この黒のブラ...寺門君に見せたくてわざわざ昨日買った。私がこんなに変態だったなんて知らなかった、寺門君のせいだよ。



「ん?どうしたの?」

「...いや、」

「なになに?言ってよぉ」



わざとらしく、鼻にかかる声で言ってみたら 私の肩に上着をかけてきた。 「日が沈んだら 寒くなるから、かけとけ...」 とか言っちゃって...!なにそれ可愛すぎるよ寺門君!



「え、だって...まだ寒くない...」

「たっ 頼むから...着といてくれ」



ちらっと横目で私の胸を見てぎゅっと目を閉じるもんだから、愛しさが爆発して私の喉をからからに乾かしていく。もー 喉乾いちゃったじゃん。



「あーあ このブラ 見せたかったのにぃ」

「え!?」


「ふふ 寺門君見てると意地悪したくなっちゃう」



私の顔を穴が開くほど見詰めている寺門君、見る見るうちに真っ赤かなんだから なにそれギャップ萌え?可愛すぎるよー 「からかわないでくれ...」 とか。は!?それ私のセリフだから!明日は、寺門君の太ももにでも触ってみようかなぁ。なんて 下唇噛んで羞恥に耐えてる寺門君の顔を見て 私は口角が上がった。




20180308