略奪 with Jaejin 



第13話


私は弱ってた

ただ、それだけ。

面倒くさいことになると、予想できるのに

なぜジェジンを入れてしまったんだろう

こいつが私を好きなことも、

私の頼みを断れないことも知ってて

ただ少し、利用しよう思っただけ。

隣で満足そうに寝ているジェジンを見て

もやもやした気持ちが止まらない



寝たままのジェジンを一人残して、私は部屋を出た

あの喫茶店

私を呼び出したのは、弁護士を名乗る男だった

目の前に座るどうみてもじいちゃんってかんじで

想像する弁護士とは、はるかに違った

「用件は何ですか?おばあちゃんに関係するって?」

この弁護士は、おばあちゃんの昔からの友人だという

おばあちゃんにお世話になったんだと

そして弁護士は続けた

『遺言書を残しておられた』

私の前に封筒を差し出した

初めて生で遺言書を見たことに少し感動した

『確認してくれるかい?』

「私が?いいの?」

もちろん、と頷く弁護士に促され、私は中身を出した

するとそこには、ありえないことが書いてあった

私に全財産を相続させると

しかも名前の前に孫と付けられていた

驚いたけど、すぐに納得した

ここまでおばあちゃんは認知症が進んでいたんだと

私を娘と思ってたんだから、無理もない

でも、あれ?

娘だったはずが、孫になってる

私が遺言書に目を通したことを確認すると弁護士は

『そちらに書いてある通り、全財産はあなたに相続されます』

「は?なんで?!ここに書いてあることは間違ってる。私とおばあちゃんは赤の他人ですよ!」

私の言葉をしっかり聞いた弁護士は、少しも驚くわけでもなく

少し微笑んだ?

『赤の他人ではありませんよ。あなたは、実のお孫さんです。』

はっきり、だけど穏やかにそう答えた

「意味が分からないんですけど?」

『あなたの母方のおばあさまがあのお方です。』

「つまり?」

『あなたを産んでくれたお母さまは、あの方の娘さんです。』

衝撃は走った

「・・・うそ、なんで?今まで何も、」

驚愕している私に弁護士は言葉を続けていた

頭が真っ白だった

言葉だけが頭をすり抜けていく


おばあちゃんは私と出会うずっと前から、私を見守っていてくれていたんだと

私がどんな生活を送ってるかを知り、私のために、近くの介護施設に入居した

認知症が進んでいたことは確かで

でも確実に、私を孫だと認識できた僅かな時間で

遺言書を作った

弁護士は母のことも教えてくれた

母は18歳のときに私を産んだ

私の父親の実家は資産家であり、政治家だった

私の母との結婚を許さなかった

裁判になり

私の親権は父親が持った

母は、苦しんだ

ずっと苦しみ続けた

そして誓った

いつか必ず私を取り戻すと

でも事故に遭った

苦しみながら、

想いを残しながら

息絶えたと。







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