きっかけは、些細な事。
たまたまその日は、違う道を歩いて帰ったから。
たまたまその日は、雨がひどかったから。
たまたまその日は、そういう気分だったから。
たまたまそれが、大好きな猫だったから。
「…あれ、おらへん」
どしゃ降りの雨の中。
段ボールの中にいた、一匹の仔猫。
「おーい!」
寒そうに震えて、とても寂しそうで。
ウチは思わず、家に連れて帰ってきてしまった。
「ロー!」
可愛らしく、でもどこか高貴な雰囲気をもつその子は、意外と人懐こくて。
ウチはすぐにその子の虜になった。
「どこいったー!ロー!」
名前はロー。
トラファルガー・ロー。
「ロー!ご飯ー!」
やたら長い名前に思うだろう。
やたら凝った名前に思うだろう。
「ったく!もう!!」
…でもこれは、ウチが付けたくて付けた名前ではない。
「…………ニャンだ」
…仔猫自身が、そう言ったのである。
「ご飯の時間になったら帰ってこいっていつも言うとるやろ!」
「うるせーニャ。どこへ行こうが俺の勝手だニャ」
ウチは、とんでもないファンタジーを拾ってしまったのかもしれない。
「……ご飯取り上げるぞ」
「…………ありがたく頂くニャ」
ネコを拾った。
ちなみにとても、口が悪い。