拝見、脳内お花畑の君へ

※リーブザネストの続き

「――あの子にもとうとうこういう時期が来たんだね〜」

「おいメガネ立ち上がるな、邪魔だ。見えねぇ」

「でもさぁリヴァイ、これじゃ私達ストーカーだよ?ある意味犯罪だよ?」

「ストーカーじゃねぇ。スパイと言え」


建物の影に隠れながら、数メートル先の小柄な女と頭三つ分大きい男の背を追う、二人の怪しい男と女。

休日の娯楽を味わう権利は人類の希望にだってある。己の監視下にあるといっても、彼女も一人の女であるということを忘れてはいけない。…とは言ったものの、お付き合いとなると話は別だ。相手が彼女に変なことを吹き込まないか、いきなり襲ったりしないか見張っておかねばならない。だって彼女は人類の希望だもの。調査兵団に欠かせない人物だもの。


「…いや、本当、玉砕覚悟で告白してよかった…!」

「…(ぎょくさい?)…」

「気の早い話かもしれませんが、将来的には…こう…明るい家庭を…築きたいなぁ、なんて――」



「――気が早ぇなアイツは」

「それにしてもすごいと思わない?いつもリヴァイと一緒にいるのを知っててだよ?最早リヴァイの女って誰もが認識してる説あるんだよ?ある意味リヴァイのようなハートの持ち主だよ」

「……」

「もしかしたら彼が調査兵団の中心的人物になる日がくるかもし――」

「おいちょっと黙っとけ」


真上にあるリヴァイの顔がハンジを見下ろす。怖い。顔が怖い。いや、それはいつものことだが、眉間に寄る皺の数がいつもの倍以上だ。
彼女の事になるとリヴァイの行動に真剣身が増すのは当初―彼女と出会った頃から変わっていないが、その行動の仕方に少しずつ変化が現れていること、当の本人は気づいていないのだろうか。今こうして後を付けているその感情はたかが飼い主としての行動では無いということ。言ったら言ったでどうせ否定されるから言わないけれど。


「つかぬ事をお聞きしますが、今までにお付き合いの経験は…?」

「あります。リヴァイさんとも、エルヴィンさんとも、ハンジさんや他にもたくさん――」



「――すごい経歴の持ち主になっちゃったね…」


致し方ない。彼女はお付き合いを「一緒に出かけたり、ご飯を食べたりすること」として認識している。早々たるメンバーとのお付き合い、しかもそこに一応女性であるハンジが含まれてしまった。男の動揺は目に見て取れるように分かったが、…逆に面白展開になってきたなとも思ってしまった自分がいる。


「そう…なんですね…。いやっ、でも、僕は兵士長や団長以上にあなたを思って見せます!!」

「?」

「あなたのような可愛らしい彼女を持てて、幸せなのです。なので、行く行くは…退役も考えて欲しいなって――」



「――ええええええええええ!!!」

「おいあの男は本当に調査兵団所属か?」


調査兵団に属している以上、その事実を知らない者などいない。彼女は人類存続に欠かせない主力であり、特別な存在であること。彼女が現役を退けば巨人に挑む戦力は数年前―彼女が居なかった頃に逆戻り、イコールそれが今後にどれだけの影響を与えるのか誰しもが理解していて、その能力の恩恵を日々身に染みて感じているというのに。
根っからの調査兵であれば、絶対にそんな事口に出来る筈が無い。なのにこの男、自分の色恋沙汰しか考えていないらしい。


「どうやら削がれたいようだな」


リヴァイの我慢が限界に達した。






今すぐ現実に引き戻してあげる

To be continued…


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