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シャチとペンギンが部屋の前で雑談をしていると、どこからかペタペタと足音が聞こえてきた。
…この船内でその音を鳴らせる人物に思い当たる節は、ただ一人。
「! ぺむぎん!シャツ!」
「ノノ…ってお前、」
「なんつー格好してんだ」
二人の目の前に現れた彼女が着ているのはダボダボのパーカー、それのみだった。膝あたりまで彼女をすっぽりと覆っているそれは、おそらく―いや確実に船長のおさがりだろう。
船長の趣味でそんな格好をさせられているのだろうか。別にそれがいけないというわけではなく、ハレンチだとか、いやらしいとか、そういう思考もまったく浮かんではこなかったのだが、何だか見てはいけないような光景のような気がしてペンギンは何だかそわそわした。
「――っノノ!」
「「!!」」
「とらっ!」
そうしてすぐに現れる飼い主。それを見つけた途端、ノノはそこへ駆け寄っていった。ペタペタと鳴るその音とその格好と、その従順さが醸し出す雰囲気。そわそわしたのは、今までこの船の中で感じた事のない空気を吸ってしまったからか。…それとも。
「…そんな格好で出歩かせるなよ」
「船長の趣味っすか?」
「…いいだろ?」
「なかなか」
「…どこで意気投合してんだよ」
大きめのため息をつくペンギン。それはきっと、彼女がその大きさだからこそ許されるのだ。今はまだ幼くても、いつかきっと。いつかきっと、ノノも大人になる日が来る。
「…露出は控えろ、ノノ」
「ろすゅつ?」
「そうだノノ。その格好をしていいのは俺の部屋だけだ」
「じゃあ何で出したんすか」
「勝手に出てっちまったんだよ」
ああだこうだと論議している三人を尻目に、ノノはまたフラフラと歩き出していた。
「っこら待て!!」
「? なん??」
「他のクルーが見たら萌えるから!!」
「…萌えてたのか、シャチ」
「! っえ!んなワケねえだろ!っ違いますよ船長!」
「…やっぱリード買うか」
「何でそっちに行くんだアンタは」
「……ノノ、帰るぞ」
ひょいっとノノを担ぐロー。不服そうな顔を向けるノノに着替えてから歩き回れと諭し、ローはその場をスタスタと去って行った。
「……」
きっとそれも、船長だから許される。彼女が大人になってもきっと、それは変わらないんだとペンギンは思った。
彼女のその姿を見てそわそわしたのは、それが船長の所有物だからだろうか。それなりに関わりを持っていても、彼女は船長のモノで、船長の特別であるという事。
「…――」
そう思った心は、今まで感じた事がないような。不思議な感覚に陥っていた。
それは親心に似て
「ペンギン、実は萌えてたんだろ?」
「…お前と一緒にするな」