「はああああ」
「溜息つくと幸せ逃げるよ?」
「及川うっさい」
「ひどっ! 心配してあげてるのに!」
「本当は面白がってる癖に」
「まあね」
「……」
「いだだ! 無言で抓るのヤメテよ!」
「はあ……」
「……で? 今度は何があったのさ?」
「聞いてくれるの?」
「はいはい、聞きますよ」
「あのね……」
「…………うん?」
「あの…………岩泉がイケメン過ぎてつらい」
「……は?」
「さっきさー! 私がダンボール運んでたら横からひょいって奪って持ってっちゃったのー! 『重いだろ?』とか言って! きゃー!」
「ちょ、やめ…! 興奮するのはわかるけど俺を叩かないで!」
「きゃーっ!」
「聞いてよ!」
「岩泉って何であんなに格好良いんだろう……」
「無視ですか」
「ね? 何でだと思う?」
「岩ちゃんより俺の方が格好良いと思う」
「真顔で何言ってんの?」
「だって本当のことじゃーん! 10人居たら10人が及川さんを選ぶと思うよ?」
「残念でした。10人中9人は及川を選ぶかもしれないけど1人は確実に岩泉選ぶから。私が居るから」
「…………」
「何」
「別に? 岩泉ちゃんも唯一がこれなんて可哀想だなーって」
「何それ失礼! 岩泉はどんな人でも優しく受け止めてくれるんですー!」
「はいはい、じゃあそろそろ部活行くよ。岩ちゃんも待ってるから」
「うん……あっ! 先行ってて! 髪梳かしてくる!」
「あー……いってらっしゃい」



「俺だって1人が選んでくれたらそれだけで良いのになあ」



(130802)



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