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求めて求めて、すがってすがって、
体内に注がれる精液が、俺の安心する要素となっている。
だが、悟る日はいつか来るのだ。
(このままで良いのやら…)
高杉の胸へと飛び込もうとしても、後ろから何かに袖を掴まれているような。
誰かに止められている感じがして、いつもモヤンとする。
そりゃ甘く抱いてくれるさ。
気持ちよすぎて何度もイってしまうほど。
俺の性欲を満たしてくれるし、高杉も気持ちよくなってるんだから何も不満はないはずなのに。
「またその顔か。」
「んー……。」
わしゃわしゃと頭を撫でられる。
つい先程と同じ行為だが、今は布団の上。
心地よい怠さと高杉の温度に安心して一服していた。
「んだよ、もうちょっとで寝れそうだったのに…。」
「悩みながら寝ても目覚めが悪ィだろ。」
「どうせ俺が起きても、お前は仕事でどっか行ってんだろ。
俺の目覚めなんて知らねーくせに。」
「寂しくさせてんのは謝る。」
「ばーか。
誰が寂しいなんて言ったよ。」
「確かに寝顔も良いが…起き抜けの無防備なテメェを野放しにはできねぇからな。」
「それでも仕事を選ぶんだろ。」
「現場が楽しいとな。
それはテメェだって同じのはずだ。」
「………………。」
銀時は反撃に詰まる。
確かに仕事の現場が楽しいというのは、ある程度の地位になったらわかる部分はある。
これでも男なのだ。
社会的に居場所ができれば、そこも安心する場所になる。
だが一方で、このままでは俺たちの付き合いが変わってしまうのではないのかと不安なのだ。
「別に…俺はこうしているだけで、良いんだよ。」
昔みたいに、馬鹿やってた頃と変わらない。
信頼できるお前と一緒に過ごすのが、何よりの楽しみ。
だからこそ、この関係は永遠のものでありたいと願うのだ。
仕事仕事で、環境が違えばお互いに何をしているのかはわからない。
何かの弾みでこの関係が途切れてしまうことを恐れている。
卒業しても、連絡を取り合って繋いできたこの関係を。
「で、今回はいつまでいんの。」
「一週間ぐらいだな。」
「え、連休?」
「なんだ、嬉しくねェのか。」
「あ…いや、突然すぎて、」
「もっと喜べ。
悩ましげなテメェの声を聞いてそうしたんだからな。」
「…声だけでそんなに不調だったかよ。」
「テメェはもっと、俺に愛されてるってことを自覚しな。」
頭を手の甲で突っつかれる。
今回の宿泊を話しかけたのは俺。
高杉には電話で伝えたのだが、声からしてそんなに暗い感じだったのかと、自覚が無いのが尚更恐い。
確かに寂しかったのは認めるけども。
「信用無ェって顔だな。」
「…俺だってお前のことは信じてるけど、」
「なら笑え。」
「いやいやいやいや突然そんなこと言われても、」
「じゃあ笑わせてやる。」
そう言うと、高杉は腰や脇に手を差し込んで擽り始めた。
それには銀時も堪えられず、笑いながらも抵抗する。
無邪気に笑う顔は、きっとみっともないものだろう。
学生の頃と何ら変わらない対応に、心を締め付けられた。
やはり高杉は侮れない。
(だめだ…また、)
こしょこしょと擽ってくる手。
しかしどこか誘われているような、だんだん触り方がいやらしくなっていく。
乳首をつねられて声を出してしまったらもう降参だ。
「ぁ……は…ん、」
「体が温まったか。」
「また、入れんの?」
「誰も入れるなんざ言ってねぇがな。
そんなに入れてほしいんなら、」
「あ……っ」
「しっかり腰を振れよ。」
何度も愛し合っていた孔は、突然入れられても抵抗せずつるんと咥えてしまった。
そして高杉に言われるがまま騎乗位の姿勢になり、腰を振って高杉を求める。
「ぁっあ…っ…あっ」
「は…特別に、暴れ馬に乗らせてやるよ、」
「ぇ…っあ!
あっあぁッあっあっあっ!!」
寝転がったまま足を立て腰を浮かせ、銀時を股がらせたまま腰を大きく揺らす。
激しく下から刺激される、これはまるで飼い慣らされてない馬に乗っているかのよう。
逃げ場のない壮絶な快感に、ひたすら乱されていく。
だが銀時も銀時なりに乗りこなしてみようと、暴れ馬に合わせて腰を揺らしてみた。
切羽詰まったような呼吸と、滑りを含んだ水音。
途中で喘ぎながらも、必死に絶頂へと向かっていく。
「ぁっ!
そこっ…そこはぁっあんっ」
もう、イきたい。
気持ちよすぎて出したい、出されたい。
「孔でイきてェか…っ」
「んっぁああ!」
「は…こんなに悦びやがって、」
「あ…ッ」
亀頭を擦られ、腰に甘い疼きが走る。
そこに性器の挿入が続けられれば、絶頂へと一気にかけ上ってしまった。
「っ…はぁ、はぁ…んっ」
射精する瞬間の、全身に走る満悦感。
心も全身も、きゅうきゅうと締め付けられて、息苦しい。
銀時が絶頂の余韻で体を震わせながらも、高杉は律動を続けてくるので、中の性器を締め付けていった。
そして数秒後。
中で弾けたのを感じると、全身だけでなく胸も満たされる。
(だめ……ぁ…もう)
少し息苦しくなった頃、パタリと集中力が切れてしまった。
そしてすがるように、高杉の体に抱きついて腰も揺らす。
高杉のことがどうしようもなく好きだと自覚してから、この息苦しさは心地のいいものへと変わった。
じわじわと込み上げる魂。
煮えたぎる想い。
繋がっていることを実感できる、この1秒に震えたい。
「また無理してんのか。」
「んん…。」
「そう切羽詰まんな、と何万回と忠告してきたはずだが。」
「…難病だから無理。
って何万回も返しただろ。」
「俺のことはわかるくせに自分のことは無関心だからなァ。
んなにテメェを苛めて楽しいのか。」
「わかんねーよ…。」
俺も、お前も。
そう呟くと、高杉の手が背中に回ってきた。
浴衣ごしからじんわり伝わってくる高杉の手の熱に、心を揺さぶられてどうしようもなくなる。
「また汚れちまったな。」
「ぁっ…も、急に動くなよ…っ 」
「ガキの頃みてェに、今夜はこのまま徹夜してみるか?」
ニヤリと笑う高杉の口元。
確かに、ガキの頃は夜通し体を重ねても平気だった。
だが気持ちいい反面、翌日起きるのが辛かったので計画的に事を及ばなくてはならないのだが。
それを今、大人になった俺らがやったらどうなるのか。
バナナの皮になるのがオチだろうが、興味があるのも事実。
「徹夜なんざ何年ぶりだよ…。」
「そうさなァ…高校以来か。」
「無理させんなよ。」
「安心しろ。
死なねェ程度にやってやる。」
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