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ザザーン…と水の音。
これは波。
押しては引いての繰り返しだが、この音に癒される。




(………………波?)

つまり海の近く。
万事屋にいたら聞こえない音。
そしてこの気持ちいい感触は…。

あぁ、そうだった。




「ン……。」

うつらうつらと夢を見ていた時。
脳内が冴えて最初に聞こえたのが波の音、そして次に感じた唇の感触。
ゆっくりと目を開けると、ぼんやりとした視界から緑色が見えた。




(晋助だ…)

明るい部屋の中で、じっと見つめる男の目。
それに安心した銀時は、ゆっくりと腕をまわして高杉の唇を優しく食む。

数えきれないほど絶頂し、口付けた後から記憶が無い。
ので、そこから寝てしまったようだ。
やはり昔のように徹夜で抱き合うのは難しい。




「……しん…すけ。」

「ん。」

「………おはよ…。」

「あぁ…。」

唇が離れたので挨拶。
そして「お前の寝顔が可愛いから襲っちまった」との口説きもプラス。
今は日も高いのに、これではまた感じてしまうではないか。
恥ずかしくなった銀時は寝転がって背を向けてしまう。




「相変わらず、初々しいこった。」

「……………。」

「銀時。」

「……………。」

「こっち向けよ。」

「………やだ。」

「銀時。」

「……………。」

「ほう…。」

ならもっと赤面させてやる。
楽しそうな高杉の声と、ベッドが軋む音が順に聞こえてくる。
そして耳元に感じる吐息。
わざと息を吹き掛けたり、低い声で名前を呼んだり、「愛してる」と囁いたり。
ただそれだけなのに肩がピクピクと動いてしまう。
何も朝からここまで攻めなくても良いだろう。

観念した銀時は真っ赤な顔で振り返り、手を伸ばす。
それに高杉は誘われるがまま近付き、銀時の体を抱き締めてきた。




「……………。」

波の音に潮風。
ギシリと軋むベッド。
そして男の体温。

良かった、夢じゃない。




(ああもう…すっごい異世界感)

それは数日前。
「晋ちゃん、銀時をどこかに連れてって」との冗談から始まった。
万事屋で抱き合いゆったりしていた時、どっかに旅行でもしたいと願い出てみたのだ。
甲子園以外で、と付け加えて。
そしたら高杉が意外と乗り気で、どこが良いんだとか具体的に質問されたから適当に答えて、じゃあ検討しておくとその日はそこで話が終わった。
そして後日、再び万事屋にやってきたと思ったら、突然腕を引かれて連れ去られてしまった。
時間が深夜だっただけに、駆け落ちする恋人とか、窓から連れ去ってくる王子様とか、色々と脳内変換をしてはニヤニヤしてしまったのは妄想癖か何なのか。

その駆け落ちで辿り着いたのがここ。
海沿いに佇む和洋折衷な旅館で、広大な敷地に一軒家単位で宿が分かれている。
そのためこの部屋もとい家には高杉と銀時しかいないという、完全なるプライベート空間。
それに寝室は海が見えるオーシャンビューなだけにリゾート感があり、銀時が望んだ旅行となっていた。




「こんな凄い宿…よく見つけたじゃん。」

「さて、どこぞの可愛い女があれこれ設定しやがったからなァ。
苦労したんだぜ。」

「そっか。」

「満足か?」

「うん。
何か…完璧すぎて、晋助の本気がわかる。」

「だろ。」

顔を擦り寄せてくる高杉に、銀時は頭を撫でて褒める。
『晋助と二人きり』で、
季節的に『海』が見たいし、
『ご飯』が美味しいところ、
勿論『甘味』も含めて、
ひとまず日常の『疲れを取りたい』から、
『非日常』な空間で、
『温泉』だと嬉しいかも、
あとは…。

という具合に。
調子に乗ってあれこれ言ったのが叶ったので凄いと思う。
何だかんだ俺の希望を聞いてくれるので、本当に器用な男だなと関心していた。




「あれ、風呂入ったの?」

「まぁな。
朝一に入る風呂も良いもんだ。」

「俺まだ温泉に入ってない…。」

「寝かせてやったんだよ。」

「へぇ。」

「入りてぇか?」

「そりゃ、俺も温泉に入ってゆっくりしたい…。」

「そうかい。」

「ぁ……。」

「なら、一汗かいてからだな。」

高杉は銀時の布団を剥ぎ、昨夜求め合った裸体を見つめる。
そして首筋や胸元を舐め始めた 。
硬くなり始めた乳首は念入りに、そして谷間にかけてゆっくりと。
寝起きからの愛撫に銀時の脳内はとろけてしまい、反抗する余裕もない。
愛撫に感じて体を揺らせば、ギシギシとベッドか軋んで音がする。




(だめ……また、いくかも…)

腕や指、腹部にかけて口付けられてはお手上げ。
自然と足を大きく広げ、犬が腹を見せるように媚びてしまう。
そして自分の陰部から愛液がとろとろと出始めているのが感触でわかる。
そこに高杉の指が触れてきた。




「相変わらず、淫らで綺麗な体だ。」

「ぁ……っぁ、」

「そういや昔、お前は風呂場で欲情してたんだってなァ。」

「んン…。」

「それからだいぶ雌になったもんだ。」

「ぁ……っ、しんすけ…。」

「銀時。」

名前を呼ばれた瞬間、腰をピクッと動かして愛液を溢れさせる。
だが指の腹で孔を押さえていたため、わずかな隙間から愛液が漏れるだけ。
それにニヤリと笑って銀時を見た。




「昨夜は途中で意識が飛んだんだ。
まだ足りねぇだろ。」

「んン……。」

「ならもっと悦い声を出しな。」

孔を止めていた指を、そのままゆっくり上下に動かす。
くちくちと音がして、銀時は腰をくねらせて快感に身を委ねた。
その間、高杉は銀時の太股に吸い付く。




「んっ…ぁ……っはぁ、ん…っ」

あ…そこ、そこは。
優しく撫でたら…。
だめ…また出したら止まらないかも。
こんな体にしたのは晋助のくせに…ズルい。

少し力を入れただけで、くちゅくちゅと音が出てしまう愛撫。
銀時の様子を伺いながら、たまに陰核を捏ねながらもゆっくりと撫でてくる。
焦れったくても気持ちいいから、喜んで身を委ねていた。




(自分でやるより…きもちぃ…)

かれこれ自慰を覚えたのはいつだったか。
確か誰もいない風呂場で、入浴中に洗うついでに弄ったのが始まり…ということは村塾時代。
風呂場は男社会での生活の中で唯一、女になれる瞬間だったから。
いつしか陰核や孔を弄るようになり、自慰による初イキを体験したのも風呂場。
その夜はどこかフワフワしながら布団に入った覚えがある。

そして晋助ともここらから絡み合うようになった…気がする。
いつもみたいにじゃれ合ってたら途中で晋助を『男』として意識してしまい、モジモジと恥ずかしがってしまった。
そしたら晋助も察したのか、若干距離を置いて無駄に関わらなくなってしまった。
それには寂しく思う反面これで良かったと自分を納得させながら、夜の自慰を続けていった。

そして体が少し女らしくなってきたある年の春。
1人で花を摘んで王冠とか指輪を作ってた時、高杉が来たもんだからふざけて指輪をつけてみた。
そしたら「俺はこっちだろ」と高杉が王冠を被り、指輪は俺の指に嵌めてきた。




「あぁ…あんっ…ぁ…ぁ、しんすけぇ…。」

「綺麗だ、銀時…っ」

そう、あの時も確かそんなことを言われて。
お互いの想いを告げ、そのまま優しく抱擁され、初めての口付けを繰り返した。
どんなに恥ずかしくても視線を外せなかったのを覚えてる。

そんな小さな恋から始まった関係。
成長の過程でどんどん濃厚な時間を過ごすようになり、すれ違ったり拗れながらも想いは変わらず。
結果的に今、無事に愛し合えているので数奇な運命もとい腐れ縁だと心に沁みていた。




「あぁっ…あんっ…あっあっ」

「…俺の出したもんも、溢れてきたな。」

「あぁんっ
しんすけっ…あっあっ」

「昔は小さい手で、よくここを掻き回してたもんだ。」

高杉の指が、孔へと入って肉壁を撫でる。
昨夜出された精液を押し込むように、律動も混ぜながら。
この指使いも昔から。
体を求め合う関係になってから、お互いの体を知ろうと丹念に愛撫を行った思い出が脳内に甦る。




(晋助だって…)

あんな小さな性器が、ここまで大きくなるなんて。

幼い口付けを繰り返し、完全に勃起した高杉の小さな性器。
それを一緒に扱いたりしたのもいつだったか。
そこから大人になるにつれ、お互いの自慰を見せ合い、お互いの体に触り、舐め合い、そして性交に及んだ。
初めての性交はお互いに緊張したのだが、高杉の感じている声で銀時の腰も痺れた。
それが快感なんだって自覚したのも、攘夷の少し前。
我ながら案外早かったな。




「んんっ…しんすけ…っ」

「あぁ、今すぐイかせてやる。」

指を動かしながら、高杉は剥き出しの陰核に口付ける。
愛撫によって小さいながらも赤く膨らんだ陰核は、口付けにより敏感に反応していた。



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