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※社会人×高校生パロ




ある日、見た目からしてヤベー奴に拾われた。
生きるって事に何も感じてなかったけども、今思えば俺が生きやすいようにしてくれたって感謝してる。
そんな俺のセンセーは。




「ほらよ。」

「んー?」

不意に投げられたものを掴もうとしたが、予想以上に大きかったので銀時は下敷きになる。
だが痛くはない。
これは何だと頭の上にあるものを掴めば、大きい猫のぬいぐるみと目が合った。
大きさからすると、これは抱き枕かもしれない。




「何コレ。
高杉サンってこんな可愛い趣味あったっけ。」

「ねぇよ。」

「じゃあ貰ったんだ。」

「……………。」

「どうせいつもの取り巻きでしょ?
晋ちゃんの快眠を手伝います!みたいな。」

「晋ちゃんはやめろ。」

「はーい。」

銀時は抱き枕を抱きしめ、顔をすり寄せる。
確かに触り具合や感触は心地いい。
さすがは晋ちゃんのファンクラブだなぁと思っていると「素直に喜べよ」と煙草の箱で頭を叩かれた。




「人から貰ったらまず何て言うのか教えただろ。」

「えぇー、別にこれ俺の欲しいものじゃ、」

「銀時。」

「ありがとーございました。」

銀時はムスっとしながらも高杉に一礼する。
これは高杉に教わったこと。
この男に拾われて以来、最初こそ何か犯罪に巻き込まれるのかと思っていたが、そうでもなく。
一緒に過ごし、何気ない会話をし、合間に高杉から作法や礼儀を教わる、それを半年ほど繰り返してきた。
ただそれだけのこと。
親のような、先生のような、不思議な存在であると同時に、いつの間にか銀時にとって大切な存在となっていた。

そしてそして、今となってはこの関係がランデブーになったのは。
お互いにそんな雰囲気だったから、かも、しれない。
なんて。
「恋愛ってのはわからねぇもんだ」と酒の入った長話に付き合わされたのは数ヵ月前だったか。




「そんな抱き付いといて不満を言うんじゃねぇよ。」

「んだよコノヤロー。
抱き枕相手に嫉妬ですかー?」

「クク、嫉妬するほどお前に固執してねぇっつったらどうする。」

高杉の挑発に、銀時はピクリと反応する。
それに対し高杉は煙草をしまうと、大きく背伸びをして隣のベッドに寝転がる。
そしてそのまま目を閉じてしまった。




(またガキ扱いして…)

「固執してない」という言葉は聞き捨てならない。
出会ってから半年、勉強や性交を挟みながらもずっと一緒に過ごし、さっきもお互いを求め合ったというのに。
というか事後でも甘いのって続くんじゃねぇの?
なのにアイツ、ものの見事にぶっ壊しやがった。
まぁ全てをぶっ壊したい病を拗らせた大人だから百歩譲って今の発言は許してやるけど。
年下なのに銀さん優しい!

て、問題はそこじゃなくて。




「………………。」

「………………。」

「………………。」

「………………。」

「………あのー…。」

「………………。」

「…たーかすぎさー…ん…。」

「………………。」

「………………。」

「………………。」

「………………。」

マジかァアアアアアアアアア!!!




(え?ちょ、待っ…え?!)

何で同じベッドじゃねぇんだ!
何ナチュラルに隣のベッドに寝てんの?!
銀さんいないのに何でそんな清々しく寝てんの?!
別に一緒に寝たいわけじゃねーけど!

ほら、アレだよアレ。
ホテル来て色々と終わったらいつも同じベッドで抱き付いて寝てたから?
違和感がある、みたいな?
ちょっとベッドが広くて落ちつかないっつーか。
いや別に一緒に寝たいわけじゃねーけど!




「っ………。」

「……………。」

隣のベッドで寝息を立てる高杉を見て、銀時は口をパクパクとさせる。
一方の高杉は銀時の訴えも知らん顔。
スヤスヤと夢の世界へと入っており、無防備な顔を見せていた。
言われてみればお疲れ顔だった気がするけども、それにしたってこの置いてきぼり感は。




(んだよコレ…)

俺だけ気にしてるとか自分が自分で気持ち悪い。
だからって高杉を起こして問うのは御法度。
ならばこのモヤモヤはどうするべきか。




「……………。」

「……………。」

「……たかすぎ、さん?」

「………………。」

「…しんちゃー…ん。」

「……………。」

「寝た、よね?」

「……………。」

「よし。」

銀時は高杉が寝ていることを確認すると、抱き枕を片手に高杉のベッドへ入ろうと試みる。
そこは、静かに、段取り良く。
まずはシーツをめくって高杉との間に抱き枕をセット、次は足先をシーツの中に入れて徐々に体を滑り込ませる。
だが高杉がド真ん中に寝ているため上手く入れない。
そのため無理矢理スペースを作りながらも足掻くこと数分、ギリギリではあるがなんとか抱き枕と銀時が寝転がれるスペースは確保できた。




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