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そこから土産屋に行って、卓球で軽く体を動かして、甘味を食べて。
突然どこからか持ち出してきたバズーカぶっ放しそうになったり、大半奢らされたが、隣の沖田が楽しそうだったので何も言えなかった。

そして部屋に戻れば、沖田はすぐさま布団へダイブ。
土方はこっそり買った晩酌用の酒とつまみを素早く冷蔵庫にしまった。




「あー楽しかった。」

「そりゃ良かったな。」

「まさか土方さんがここまで付き合ってくれるとは思っていやせんでした。」

「付き合えって散々駄々こねたのどこの誰だ。」

「はーい。」

「反省ナシか。」

土方はやれやれと肩を落とす。
一方の沖田は布団の上でゴロンゴロンと寝返りをうってくつろいでいた。
その際、浴衣から生足が出てもお構いなしである。




「おい、見えてんぞ。」

「キャー変態ー。」

「痴漢の冤罪ってこういう気分なのか。」

下着や脚を見せたいのかなんなのか。
はしゃぐ沖田に対し、土方は窓の外に視線を移して煙草に火をつけた。

それに沖田は不満そうな顔をする。
ついには枕を投げて無理やり土方を振り向かせた。




(どこまでも、だな)

ある程度構ってくれないと途端に反抗期になる。
沖田の特徴をよく理解している土方は、飛んできた枕を投げ返して沖田の体に当てた。




「っ…女の体に枕当てやすか普通。」

「悪ぃが俺は普通じゃねーから。
見せつけてくる変質者よりマシだろ。」

「何でィ。
屯所の紅一点が直々に色気振りまいてるってのに。」

「色気と見せつけは違う。」

「あーはいはい、要は俺じゃ役不足ってことですね。
死ね土方。」

「自覚あんならさっさと直せ。」

ふーと煙を空に向かって吐く。
これから野次とばしや枕投げが起きようとも問題ない。
沖田が眠ってくれれば、そこからは俺の時間となるからだ。




(の、前に)

少し機嫌をとっておくか。




「総悟。」

「……………。」

「ほら。」

煙草を灰皿に置き、両手を広げる。
それを見た沖田は一度は布団に顔を突っ伏すも、数秒経てばゆっくりと起きあがった。
そして土方の胸に収まる。

ぎゅっと抱き締めればすり寄ってくる。
そして途端に空気が甘くなった。
これでいい。




「土方さん…。」

「ん?」

ぎゅうぎゅうと抱きついてくる沖田に、土方はやらせたいようにする。
すると沖田は土方の浴衣の帯を外し、浴衣を肩からずらして上半身を露わにさせた。
何がしたいのか。
土方はしばらく様子見ということで放っていたが、己の浴衣も脱ぎ始めたのでさすがに驚いた。




「おい。」

「………………。」

「そういうのは大事な時に、」

「土方さん…土方さん。」

「何だ。」

「俺たち、何なんでしょうね。」

沖田の肩からパサリと浴衣が滑り落ちる。
そして抱きつかれ素肌が擦れ合ってしまっては、少し興奮してしまうのは男の性。




「手ェ繋いで、抱き合って、同じ部屋で寝て、二人きりでこうしてるのに…恋人でもない。」

沖田の声は、おかしいような寂しそうな複雑な感情が混じっている。
それには土方も何も言えなかった。
確かに沖田の言うことは正論。
こんなに近ければ恋人だと何度も言われてきたが、一線は越えてない。
お互いにそれでいいと知らぬふりをしてきた。

いつまで続くかと思ったが、やはりこういう曖昧な関係には終わりがくる。
例え、結果がどうなろうとも。




「総悟。」

「……………。」

「お前は、どうしたい。」

「………………。」

風にのってふわりと香る石鹸のにおい。
興奮と心地よさに、土方は沖田の頭を撫でて冷静を保とうとした。




「俺は…どっちでも構わない。」

土方とて色々考えてきた。
このまま奪ってしまおうか、それとも沖田が想い人を見つけるまで耐え抜くか。
考えに考えた結果、土方は後者を選んだ。
沖田にどれだけ挑発されようが、手は出さず、好きなようにさせてきた。

一方の沖田もそれを察したのか、何なのか。
最後まで無理に詰め寄ることなく、いつもどこかで身を引くようになった。
それを寂しいと思ったことはない。
緊迫した現場から離れることができてお互いの癒しとなっていたから。




「お前は女だ。
遅かれ早かれ、誰かを選ぶことになる。」

「……………。」

「お前の答えが出るまで待とうと、思ってた。」

「……………。」

「だが俺は…。」

もう、我慢できそうにねぇ。





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