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※沖田♀注意







俺はあのガキが好きだ。
きらきらしてて、ふわふわしてて、他の物に例えようにも難しい。
自覚したのはいつだったか。
出会った頃か武州にいた頃か真選組に入った頃か。
それでも惚れちまったものは仕方ない。
モヤモヤするのも嫌なので俺はそう割り切ることにした。

だがしかし。
人間とは欲深いもので、会話をしたら次は触れてみたいと思ってしまう。
それも段階的に、肩、背中、頭、髪、頬、といったようにだ。
しかし総悟はそれを抵抗せず受け入れる。
「くすぐったい」と言って俺の手を拒まない。




それがアイツの性格。
悪く言えば欠点にあたる。














『     』と笑って












どっぷりと更けた夜中。
少しだけ一服しようと思い、土方はゆっくりと起き上がる。
それに隣がもぞりと動いた。




「悪ィ…起こしちまったか。」

「………ン…。」

土方は隣で寝ている気配に謝り、隣の布団を優しく撫でる。
すると頭まですっぽりと布団をかぶっていた女が、頭を出してゆっくりと目を開ける。

大きな赤い目が土方を探す。
まだ寝ぼけているのか、焦点が合っていないまま体を起こそうとした。




「……っ」

「こら、無理すんな。」

まだ腰が痛いだろ。

土方は沖田の腰を支え、再び寝かせようとする。
沖田の着替えが無かったためとりあえず自分のシャツを着させているが何とも妖艶だった。
するとようやく焦点が合ったのか、沖田は土方をジッと見つめた。




「……じかた…さん。」

「んだよ。」

「ついに…犯罪者の仲間入りですね。」

「ッッ!!」

沖田の発言に思い切り吹いてしまう。
言い方を考えろと一喝しようとしたが、沖田の首や胸元に散らされた赤い痕を見て何も言えなくなってしまう。

ああ、本当に俺は総悟を…。




(さすがに夢じゃなかったか…)

それは突然だった。
いつものように仕事をサボる沖田に注意すべく、昼寝をしている本人に話しかけようとしたその時、思わずその桜色の唇に触れてしまった。
手で頬を撫でたあと、自然とその唇の形を指でなぞったのだ。

無意識とは恐ろしい。
我に返った時はもう遅く、沖田はアイマスクを外して不思議そうに土方を見つめていた。
何も言わず、何してんだこの人、というそれだけの感覚。
そこで思ったのだ。
コイツは女としての自覚、危機感、それよりももっと根本的なモノが足りないんじゃないか、と。




「その犯罪者が言うのも何だが…気分はどうだ。」

「大丈夫でさァ。」

沖田はしれっと答える。
しかし土方の腕から逃げず、黙ってされるがままになっていた。
それは少し前の光景のよう。
部屋に連れ込んで押し倒し、わけのわからないまま目の前の肌に触れた時と同じだった。




「……………。」

「どうしたんです、暗い顔して。」

「悪ぃ…。」

「?」

「その…無理させた。」

「別に気にしてませんよ。
でも明日はゆっくり休ませてくださいね。」

「………………。」

「土方さん?」

「あ…あぁ。」

土方はおどけながら沖田の腰を撫でる。
そして唇を頬に寄せた。
それを沖田は抵抗なく目を閉じて受け入れる。




(やっぱり、な)

コイツは感情を出さない。
むしろ感情があるのかすらわからない。




「悪い……本当に、」

元からポーカーフェイスであるのは知っていた。
感情の起伏があるとはいってもその幅は狭く“心から”笑うなどの本性をあまり見せない。

今までどんな男を前にしてもされるがままとなっているのではないか。
目を瞑っていれば終わる、なんて考えているのではないか。
そう思えば思うほど一気に不安となって押し寄せ、たまらなくなった土方は沖田の体をギュッと抱きしめた。




「っ………土方、さん。」

「…痛いか。」

「ん…大丈夫です。」

「………………。」

ほらな、お前は抵抗しない。





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