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久々だったし。
どうせこのマヨ野郎は手加減なしで襲いかかってくるだろうと覚悟はしていた。

しかし現実はすんなりと引いた。
愛撫に時間をかけてきやがったから、我慢できなくなった俺は、急かすよう土方を誘ってしまった。
にも関わらず。
中に出されることもなく、ゆっくりと突かれて、合間に口付けを繰り返して、お互いに果てて、体のだるさも無く終わる。

そして今、
途中だった料理を2人で作っていた。




(何なんでィ…)

確かに気持ちよかった。
確かに発散できた、が。
あっさりしすぎて逆に怪しく思えてしまう。
そんなに餓えてないなんてどこぞで雌でも引っ掛けてきたのではないか、と。

熱したフライパンからパチパチと油が跳ねる音がする。
そこに混ぜた粉物を入れて、まんべんなくかき混ぜた。
だが、心のもやもやは治まらない。
と、横から白い皿が現れた。




「ほら。」

「…ありがとーごぜーやす。」

「なんだよ、膨れっ面して。」

「別に。」

皿を受け取った沖田は、土方と目を合わせることなくフライパンをひっくり返す。
すると芳ばしい香りが広がった。




「で、何だよそれ。」

「チヂミ。
酒のつまみにゃ良いでしょう。」

今回は冒険をして納豆入り。
もっと酒に合うようにしてやろうと思ったら、いつの間にかタバスコが台所から消えていた。
用心深いなコノヤロー。




「チヂミに肉じゃが、で冷蔵庫の刺身と漬け物。
ずいぶんと奮発したな。」

「そりゃアンタの胃袋任されてやすから。
感謝しなせェ。」

「はいはい。」

「あとこのマヨネーズ。
目分量で作ったんで味の保証はありやせん。」

「お、さすが。
出来る嫁を持って幸せだよ。」

頭をよしよしと撫でられる。
それだけなのにドキドキと高鳴る鼓動に、先程までのもやもやは引っ込んでしまった。
俺もどうやら快楽主義らしい。
目の前が満たされりゃそれでいいとか。




(まだまだガキんちょって事か)

土方のような大人の男に相応しいか、たまに迷ってしまう。
だがその度に土方が甘やかしてくるからどうでも良くなってしまうのだ。




「こら。」

「あ、」

「余所見してんなよ。」

最後の肉じゃがの盛りつけで、危うくこぼしそうになる。
その前に、土方が皿で受け止めた。
ナイスタイミング、そう思って鍋を台所に置くと、突然唇を奪われてしまう。

また何かのスイッチが入ってしまったのか。
柔らかい感触を食みながら、沖田は触れてくる唇を受け入れる。
すると頬を土方の両手で包まれた。




「不意打ち魔…。」

「お前の機嫌が悪いからな。」

「まーた自分の良いように言って…。」

「そう思わせてんのはどこの誰だよ。」

「ただの濡れ衣ですぜ。」

「大人なんざそういうもんだ。
良いから俺の相手をしとけって。」

「ん………。」

再び近付いてきた顔に、沖田はゆっくり目を閉じる。
そして酔いしれる。
この人は俺のもの。
俺だけ見て俺に欲望をぶつければいいんだと。




「ふ…ぁ、」

「…今日はどこかに泊まるか、2人で。」

その言葉に、沖田の目が見開く。
先の意味がわからないわけではない。
だけどこんなに期待させないでほしい。




(アンタも足りないんですかィ)

こんな軽い触れ合いじゃない。
もっと体の奥底まで溶かされるような熱さと快感が欲しい。
だってまだまだ若いから。
どこぞの雌に尻尾振ってなくて良かった。




「欲求不満ですかィ。」

「仕方ねぇだろ。
嫁のこんな可愛い姿見せられたら。」

「ちゃんと後片付けも手伝いなせェよ亭主関白様。」

「わぁーってるよ鬼嫁。」

いつもの沖田の顔になったのを確認した土方は、いつものように返す。
それに笑い合いながら座ると、いただきますと手を合わせた。













16,05/06
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