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※大学生×高校生パロ








「おいコラ高校生。」

「あ。」

「あ、じゃねぇ。
お前は人ん家の屋根の上で何してんだ。」

「これはこれは…夜更かしは美容の大敵ですぜ、土方さん。」

「俺が女に見えんなら眼科に付き添うぞ。」

「冗談ですって。」

沖田はフフっと笑って屋根の上に寝転がる。
そしてそのまま目線を空へ移し、ジッと見つめた。




「ったくテメェは…。」

こんな夜中に人の家、
しかも屋根の上に登るとはどういう神経をしているのだ。

ベランダからよじ登ってきたこの家の人間は、やれやれと思いながら沖田の隣に腰掛ける。




「でもよくわかりやしたね。
俺がここにいるの。」

「まぁな。
どっかの悪ガキがズッコケなきゃ、俺も今頃ぐっすりだったよ。」

それはいつも通り静かな夜。
スヤスヤと眠っていた土方に突然、天井からガラガラという音が聞こえたのだ。

最初は猫か何かだろうと思っていた。
だがしばらくして、猫にしてはやけに大きい音だったと不安になり、土方はベランダから屋根の上を確認した。
そこで見たのは見覚えのある顔。
土方は緊張が解け、一気に脱力した。




「どうせテメェの家から屋根伝いで来たんだろ。」

「いやー久々でしたね。
でも相変わらず、土方さんの家の屋根は滑りやすくて困りまさァ。」

「そりゃ人が歩くために作った屋根じゃねぇからな。」

「家の人達は?」

「寝てる。
親の寝室は一階になったからな。」

「そうですか。」

沖田はホッと安心する。
あれはまだ血気盛んな中学生の頃、
人の家の屋根を歩いたことがバレて、こっぴどく怒られた経験があるのだ。
その時も、この土方の家の屋根で滑った事が原因だった。

何だか自分が成長していないように思えてくる。
沖田はニヤニヤしながら、隣に座る土方を見た。




(なーんも変わっちゃいねぇ)

土方と沖田は御近所さんとして知り合った。
それは沖田が幼稚園児、土方が小学生の頃である。
お互いにぶつかり合っては喧嘩して、噛み付いては喧嘩して、の繰り返し。

だがそれも成長とともに変化する。
テスト期間になれば土方に勉強を教えてもらい、暇さえあれば公園で一緒に体を動かした。
つまり付き合い方が大人になったのだ。




「土方さん。」

「あ?」

「世界は…狭いもんですね。」

「黄昏にきたのか。
ずいぶんと大人になったな。」

「俺だって思い出に浸りたい時だってありまさァ。」

「なら場所を考えろ。」

土方は沖田の頭をポンと叩く。
憎まれ口は相変わらずだが、兄貴分として沖田のことを心配してくれているのだ。
それは沖田自身もよくわかっている。




「本当、甘いですね。」

俺が悪戯をしても本気で怒らず、
誰かに説教されている時はすかさずフォローをしてくれる。
何だかんだでお互いが大切なんだと、夜空を眺めながら沖田はしみじみ感じていた。

すると隣の土方が不思議そうな顔をしていたので、思わず笑ってしまう。




「何ニヤついてんだ。」

「別に。
土方さんがイケメンだなあって思ってやした。」

「そうかい。」





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