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※教師×生徒パロ注意






「…………。」

あーあ、夕日が見えないアル。




「記念日になるかもしれないのに…。」

はぁとため息を吐いてみる。
自分しかいない教室には自分の声と動作の音しかしない。
神楽は席に座りながら、朝からずっと暗い曇空を眺めていた。




(上手くいったアルか…)

神楽は足をブラブラさせたり、寝たり、起きたり、携帯をいじったり、
仕舞いには明日の予習だと意気込んで教科書を開いた。
しかしそれも3分で終わる。




(暇アル…)

誰もいない放課後の教室で、神楽は背伸びをする。
外では運動部のかけ声と、吹奏楽部の楽器が鳴り響いていた。

暇を持て余した神楽は、席を立って窓の下を見た。




「ぁ…………。」

抱き合ってる…。
てことは、




「告白…成功したアルか。」

それは数日前の話。
友人が好きな人を放課後に呼び出して告白をするという、ベタな企画を持ちかけてきた。
その際、良かれ悪かれ結果が出るまで教室で待っててほしいと頼まれたのだ。
故に友人が去ってから今の今まで結果報告を待ち続けたのだが。

どうやらもうお役御免らしい。




(お幸せに…)

抱き合っていた二人は仲良く手を繋いで校門を出て行った。
その背中を見送った神楽は、窓を開けてうなだれた。




「………………。」

羨ましい、
どうしてもそう思えてしまう。




(アレが…普通の学生の恋愛)

手を繋いで。
一緒に帰って。
途中で寄り道して。
休日はデートなんかして。
…というところだろうか。

何とも子供じみている。
だけど、それに憧れはある。




「………………。」

神楽は携帯の画面で今の時間を確認する。
もうすぐ部活動も終わる。
そんな遅い時間まで教室にいたら必ず閉め出されるだろう。
でも今はそれで良かった。




「………………。」

早く来い。
早く来い。

早く、来て。




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