2/5






そして翌日。
登校したらクラスの女子たちが漫画の話で盛り上がっていた。
聞いたら今流行りの教師♂と生徒♀の恋愛漫画らしい。
ありきたりなネタだなぁと思いつつ神楽も試しに読んでみたら、やっぱりありきたりな流れだった。

禁断恋愛漫画の流れなんてだいたい同じようなものネ、と思いながらもどこかしらでワクワク感はあるのだ。
それもそのはず。




(もしも兄ちゃんと…なんて、)

教師を神威、生徒を自分として妄想しながら読んでいたのだから。
たまにキャラ設定が自分と合わないこともあるが、そこは割愛。
何はともあれハッピーエンドで良かったと思う。




「……………ふぅ。」

ため息を吐きながら、教室の壁にかかっている時計を見る。
今は3時限目。
帰るにはまだまだ勉強をしなければならない。




(今日も一緒に乗れるかな…)

実際のところ、一緒の電車に乗れないことも多々ある。
何故なら待ち合わせなどしていないから。
待ち合わせして決められた時間に一緒に帰るよりも、偶然に出くわして一緒に帰るというのが心地良い。
いわゆる運命って感じが良いのだ。

そうぼんやりしていると、隣の男子から「ニヤニヤしてるぞ」とヒソヒソ声をかけられた。
今は厳格な教師による現代文の時間。
喋っているところを見られたら問題のご指名を食らうため、バレないようタイミングを見計らって喋る。
それでも止められないのはバレるかバレないかのドキドキ感があるから。
これも禁断愛に似てるかもしれない。




『何でもないアルよ。』

先ほどの言葉には、口パクと余裕たっぷりの笑みで返す。
そしてお互いにニヤニヤと笑って終わった。
同級生との繋がりも良いと思えるのはこういう時。
同級生ならではの会話や、クラス内で流行っているものの共有、それは楽しい。




(それと恋とはまた別問題ネ)

友人という関係なら、それで満たされる。
だけど恋愛となると物足りない。
興味本位な年頃であるため、禁断愛話にドキドキするし、それを望んでいる自分もいる。
そう思うと、やんちゃ盛りな神威よりも、自分はずっと子供っぽいなと自覚してしまうのだ。




「ぁ…。」

キンコンと授業が終わるチャイムが鳴った。
手元のノートは白紙。
終始ぼんやりとしていたため、書き写していない事態に頭も真っ白になる。

ひとまず隣の友人に頭を下げ、ノートを借りて書き写す。
いつもの電車に間に合うよう、すぐに書き終わらねば。
必死な様子は修羅のごとく。
周りは話しかけようにも話しかけられず、ただ見守ることしかできなかった。




[*前へ] [次へ#]



戻る

←top