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ホントに近すぎる二人

だから言わなくてもわかるでしょう?









ガタンガタンと電車が揺れる。
いつもの風景が流れる窓を見つめながら、たまに隣の様子も伺った。




「………………。」

「………………。」

「………………。」

「………………。」

「………………。」

特に変わったことはない。
高杉は寝てるだけで、相変わらず銀時にも気付いていないようだ。




「寝顔だけは可愛いんだけどなぁ。」

んなこと本人が聞いたら叩きのめされると思うけど。

銀時はクスクスと笑う。
そして鞄の中から携帯を取り出した。
すると待ち受けにはメールが数件、かつ着信も入っていたことを知らせるコマンドが出ている。




「あ、総一郎君からだ。」

メールと着信の履歴を開くと、どちらもクラスメイトの沖田からだった。




From.沖田総悟

題名:
本文:もしかしてカバンに付けてるストラップ落としましたかい?
あのシンプルな割にアホ面なくま拾ったんですけど
俺が拾ったんですけど




(やっちまった…)

全力疾走で全く気付かなかった。

銀時が鞄を確認すると、質素なチェーンだけがぶら下がっている。
となると、どうやら落とし物は自分のものかもしれない。




「よりによって総一郎君かぁ。」

ってか何で俺が拾ったって強調すんの。
これじゃ人質解放する代わりに身代金よこせって言ってる犯人じゃん。
怖っ




「…………………。」

まぁ、仕方ないか。

全ては落とした自分の責任。
明日、何か甘いものを身代金として持って行こう。
そう考えた銀時の肩に、不意に重みを感じた。




「…………え、」

「…………………。」

嘘。
え、マジで?




「高杉…?」

いつの間にか、高杉は銀時にもたれ掛かって寝ていた。
うつらうつらと、たまにピクリと反応しては姿勢を整える。
だが再びもたれ掛かってしまう。
これは電車で寝ている人の特徴的な動作である。

銀時は戸惑う反面、嬉しくもあった。
しかし高杉が起きたら気まずくなってしまうかもしれないので、これはどうしたものかと考える。
もう少し電車に乗るし、今更場所を変えるのは面倒。
いっそのこと起こしてご対面…は無理。




「…………………。」

銀時は携帯を鞄にしまい、静かに目を閉じる。
そしてそのまま寝たふりをした。




(これでよし)

電車でうつらうつらしてる奴は、電車の動きやアナウンスなどでハッと目が覚めることが多い。
なのでこちらも寝ているように見せれば、もし高杉が起きてもシカトできるし、気まずくない。
要は目を合わせなければ大丈夫。






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