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確かに久々の逢瀬だ。
それなり溜まってるのも事実。
だからこのまま抱かれるのも悪くはない。

しかし、ここで流されるわけにもいかない。




「待て…って!」

「何だ。」

「何だ、じゃねぇっ
昨日のアレはどういうことかちゃんと説明しやがれ!」

「アレだ?」

銀時の首筋に吸い尽く高杉は、不機嫌そうに眉を寄せる。
いやだから怒りたいのはこっちだっつーの。




「その、何であんな…神楽が懐いてるんだって話だよ!!」

長いこと一緒に住んでる俺にだってあんな甘えてこないのに。
付き合いの長さなら俺の方が上だし。
高杉より俺の外見の方が…こう、マイルドだし!
危険じゃないし!




「別に懐いちゃいねぇだろ。」

「いやアレはどこをどう見ても親子だからね。
反抗期を迎える前の娘と何だかんだジャレ合ってる休日の親子だから。」

「親子ねェ…。」

「だぁッッ
だから服ん中に手突っ込むんじゃねぇ!!」

「そうかい。」

『親子』という言葉を聞いた高杉は、ニヤリと笑う。
一方の銀時は、服の中に忍びこんだ手を握って先に進もうとする高杉を止めた。




「俺はアイツの提案にノっただけだぜ?
『どうせ暇なら父親役でもやってみろ』ってな。」

「…………………はい?」

父親、役?




「テメェともう一人の眼鏡のガキが常に一緒だと母親が2人いるみたいで飽きたんだと。
そこで俺が父親役になりゃバランスでも取れんじゃねぇか、って言ってたぜ。」

飄々と事情を説明する高杉に対し、銀時は再び迷宮入りしてしまう。
父親、母親、バランス、その言葉が頭の中をぐるぐると回る。

そして次第に冷静になってきた時、謎は徐々に解決し始めていた。
つまり二人はそういう関係ではないこと、親子に見えていたのは“そうしてたから当たり前”だったこと、だけはわかった。

だが、




「……………ごめん、もう一回言って。」

「俺が父親、お前が母親、ガキはガキ、それでバランスが良いって話だ。」

「いやてめー今だいぶ端折っただろ。」

「馬鹿でもわかりやすく言っただけだ。」

「そんな家族ごっこ的なもんを神楽が望んだって言うのかよ。」

「ちょうど良い暇つぶしって事だろ。」

「…望んだのは父親振るだけじゃねーよな。」

「真っ先に聞いてきたのは兄貴のことだったぜ。
まぁそっちが本命だろうがなァ。」

「はぁ……。」

銀時は体の力を抜いて高杉の肩に頭を寄せる。
昨日から無駄に入っていた力が、ほっと安心したと同時に抜けていく。




(ややこしくしやがって…)

でもあんな大食い馬鹿でも家族は大事にするからな。
それは良いことだ、うん。




「機嫌は直ったか。」

「別に。」

「なら無理やりでも直してやる。」

高杉はそう言って銀時の体をソファーにそっと押し倒す。
狭いだろうが愛撫だけならできるだろうと、服をはだけさせては肌に吸い付いた。




「…子供相手に何してんだか。」

「あ?」

「そういう事なら…一言くれって話。」

「あァ、テメェの反応見てたら案外楽しくなっちまった。」

「っ…今度やったらシメる。」

「ククッ
だが父親をやれて楽しかったのも事実だぜ?」

遊んで悪かったな。
その言葉を聞いた銀時は、できるだけ素直に愛撫を感じていた。

確かに不安だらけで怖かった。
理由を聞いた今でも”母親“をほったらかす親父なんざ最低だと思った。
だけどちゃんと戻ってきてくれたから全てを許してしまう。
って、新婚じゃねーんだから。




「ん……ゃ、たかすぎ…っ」

冷たい掌が通った後を熱い唇が追っていく。
次第に籠もっていく体の熱に、甘い痺れを感じながら高杉を受け入れた。
今の高杉は俺しか見ていない。
この時間がとても安心できる。




「で、どうだった。
俺の父親としての演技は。」

「……2点。」















15,04/07
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