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そんなこんなで。

銀時のもやもやを知るよしもない高杉と神楽は食材をたくさん買って帰ってきた。
普段はお目にかかれない高級肉を食べ、そして神楽のお願いで3人で仲良く川の字に布団を敷いて寝る。
その時も高杉は神楽を気にかけ、腕枕をしたり布団をかけてやったりと本当に父親のような行動をとった。

端から見れば微笑ましいだろうが、次第に羨ましいと思えてきた銀時はどんどん機嫌が悪くなっていた。




















そして一夜明けた翌日。
時間はとっくに昼で、銀時はボリボリと頭を掻く。
隣に敷いてあった2つの布団は既に畳まれており、寝室には銀時だけがいた。




「……はよ。」

「ガキなら外に遊びに行ったぜ。」

襖を開ければ男がソファーに座りながら煙をくゆらせている。
その姿に銀時は驚く。

着物は紺色で包帯はしていない。
長い前髪で傷ついた片目を隠している。




(別に聞いてねぇっての…)

確かに神楽がいないことに疑問を抱いた。
しかし朝一から神楽のことを口にした高杉に、銀時はムッとしながら隣に座る。




「……………。」

するといつから用意してあったのか、高杉は近くに置いてあった湯飲みを銀時に差し出してきた。
それを何も言わずに受け取って飲む。

茶は、ぬるい。
いったい何時に起きたのやら。
どうせなら起こしてくれても良かったのに。




「………………。」

「銀時。」

「………………。」

「銀時。」

「………………。」

湯飲みを机上に置くと高杉と目を合わせないようそっぽを向く。
名前を呼ばれて体が反応してしまうのは悪い癖だ。




「子犬の次はでけぇ犬か。」

だが、悪くねェ。




「…んだよ。」

「そう睨むな。」

「悪かったな…素直じゃなくて。」

「自覚してんなら結構。
だが俺は犬の面倒見てるだけだぜ。」

そう言うと銀時の腕を引っ張って無理やりこちらを向かせた。
そしてあからさまに不機嫌ですと書いてある顔や寝癖のついた頭を撫でる。




「……っ」

その優しい手つきや温もりに流されそうになる。
だが銀時は負けないよう高杉を睨み続けた。
しかし高杉は顔色を変えず、むしろ不機嫌な銀時を慰めることを楽しんでいるようだった。

高杉は銀時の頭を引き寄せて抱きしめる。
そして情事を思い出させるような腰にクる低い声で名前を呼ばれたら、もう降参であった。




「尻尾振るほど嬉しいか。」

「尻尾なんてついてねーよ…。」

「久々の逢瀬に構ってやれなくて悪かったなァ。」

「だから…っ」

それは違う。
俺は別に構って欲しいなんて言ってない。

いつものように反抗しようと開けた口、だがそれは静かに閉じる。
そして頭を撫でる高杉の手に恐る恐る触れた。




(…こう……かよ)

それは神楽がやっていた甘える仕草に似てるような、似てないような。
あの時は確か高杉の膝枕で、それで…。




「っとに、テメェは。」

「ぁ…。」

「不器用は焦らすからいけねェな。」

銀時の手を取って指先に口付ける。
そして目を合わせようと顔を覗いた時、自然と唇が重なって体が強ばった。




「っ……ン、ふ。」

久々の逢瀬、久々の口付けからか、妙に緊張してしまう。
どのタイミングで舌を入れようかと思っていると、ちゃんと高杉が銀時の唇を開くよう促してきた。
それが嬉しくて、高杉の首に腕をまわして 長期の口付けをせがむ。

本当に尻尾が付いていたら今頃大きく振っているんだろう。
それほどご主人様に構ってもらえたのが嬉しくてたまらない。




「特別に…躾てやるよ。」

「っ……。」




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